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◆日活・事件記者 小事典◆

  
▼SKIP 項目へ▼  →戻る事件記者マニア おぼえがき

 1958年(昭和33年)4月から、8年に渡り放送された、NHKテレビの人気ドラマ
「事件記者」を、日活が映画化。
 テレビ放送開始翌年の1959年から、1時間前後のSP映画(2本立て興行のうち
の添え物映画)として10本が公開された。
 監督は山崎徳次郎。
 島田一男原作、警視庁の記者クラブ詰めの新聞記者たちの活躍を描く。永井智雄
演じる相沢キャップの「東京日報」を中心に物語が進むのは同じだが、当時、生放
送でスタジオ収録のテレビドラマとは異なり、ロケを多用。また、出演者も、メイ
ンキャストに映画オリジナルの日活若手スター・沢本忠雄を起用し、テレビ版の主
要キャストの、アラさん・清村耕次や、シロさん・近藤洋介といった面々は出演し
ていない。三保敬太郎のハードなジャズの音楽効果もあって、テレビとはかなり異
なった印象である。
 後に製作された、東京映画版の「新・事件記者」シリーズは、出演者を含め、テ
レビ版に近い設定で、こちらの方がテレビの世界観をよく伝えていそうである。

 10本それぞれ、扱うテーマや事件の舞台を変え、演出方法も作品ごとに趣向を凝
らす。限られた時間の中で、テンポ良く話は進む。
 ある時は競争し、またある時は協力し、一喜一憂する各社記者たち。新米記者、
スガちゃん・沢本忠雄の成長。食いしん坊ガンさん・山田吾一のコメディリリーフ
ぶり。重鎮の八田老人・大森義夫や「バッキャロー」が口癖の浦瀬キャップなど、
個性あふれる出演者が追いかける、難事件、怪事件。
 舞台となるのは、オリンピックで変貌する前、人口900万の首都、東京各地。東
京タワーはすでにあるが、首都高速道路の建設もまだ始まらず、街中を縦横に都電
が走る。山崎監督は、鉄道好きなのか、必要以上に電車が映りこむ。
 そして、胃腸薬「ワカ末錠」(中村滝製薬)を始めとするタイアップ商品の登場
も楽しい。
 必要なときに、都合よく現れる電話ボックス、タクシー、拳銃、そういうことは
気にせずに、職人芸の映画造りを堪能しよう。

【参考資料】
「映画のポケット」Vol.48「日活野郎(と女たち) 〜戦後日活大部屋俳優傳〜」資料
【参考サイト】
 華麗なる日活映画の世界(京都電影電視公司)
 キネマ写真館
 事件記者非公式ファンサイト


 第1作 事件記者
 第2作 事件記者 真昼の恐怖
 第3作 事件記者 仮面の脅迫
 第4作 事件記者 姿なき狙撃者
 第5作 事件記者 影なき男
 第6作 事件記者 深夜の目撃者
 第7作 事件記者 時限爆弾
 第8作 事件記者 狙われた十代
 第9作 事件記者 拳銃貸します
第10作 事件記者 影なき侵入者

  ★new!  いつからそこに?

【相沢ゴエモン】
「石川五右衛門だってないものはとれない。相沢ゴエモンもムリだ。」#6

【アサカン】
 朝刊。記者連中はこう呼ぶ。
「もう30分早けりゃ、アサカンの最終版にはいったのになあ。」 #3毎朝・三原
一夫(花村典克)
「さあ行こう、明日のアサカン、久しぶりにハデだぜ!」 #10

【ありがとうよ、日報サン!】
 着任したて、うっかりライバル社に情報をバラしてしまった、日報スガちゃん・
沢本忠雄。それに応えてタイムスのクラさん・内田良平のセリフ。「しまった、タ
イムスだ!」、スガちゃん、思わず口に手を当てる。
 傷害事件の被害者(船十・深見泰三)がかつぎこまれた病院に駆けつけた内田。
日報ヤマさん・園井啓介がクラさんもかぎつけたかとがっかりされて「ああ、おか
げさんでな。」 #1

【あれはあれ、これはこれ】
 #2,3

【あれも人の子樽ひろい】
「あれも人の子樽ひろいって言葉もあるだろ。」 #2タイムス、クラさん
 明け方近くに、ようよう被害者の写真を提供してくれた、警視庁の広報係に、く
れるならもっと早くくれよと、クラさん。不憫に思ったら、という意味でこの句を
引き合いに出す。
 →雪の日や あれも人の子 樽拾ひ  安藤信友(冠里)

【いずこも同じ】
 自社の記事に特落ちなく、各社同様の内容で安堵する時の常套句。
 →寂しさに宿を立ち出でて眺むれば いづこも同じ秋の夕暮れ  良暹法師
  (百人一首70番・後拾遺和歌集)

【いつからそこに?】  ★new!
 ありガネをまきあげられて、ドヤに寝泊りする破目になった野村隆と市村博。親
分に反乱を企てるも、その山田禅二が隣のベッドにいて、びっくり。 #9

【ウナギ】
 最終話のクライマックス、印旛沼(千葉県)。泥だらけになりながら、ぬかるみ
の中、こけつまろびつ、犯人逮捕の現場をめざす新聞記者、カメラマン達。
 足をとられて転んだ日日ガンさん・山田吾一。派手なコートのポケットから、よ
く太ったウナギが顔を出す。 #10

【ウメチョウ】
 警視庁捜査一課、原警部。深水吉衛。
 #1によると、3号室。
「たいていの刑事は、泥棒より心得てるモンだよ。」#1

【えーえー】
 日日ウラセキャップ・高城淳一の嘆き。実際はちょっと濁って、「え゛」といっ
た音。

【鉛筆】
 新聞記者の必需品。胸ポケットに鉛筆は記者のしるし。
「クリスマスツリー……、おエンピツサマじゃね。」 #6ハッタ老人
 小間使い2代目ミッちゃん・福田文子、記者たちの捨てた、ちびたエンピツを集
め、供養をかねて、クリスマスツリーを飾る。
 #7では、アイザワキャップ、ノック式のボールペンをカチカチ。

【閻魔(えんま)大王】
 日日ウラセキャップ・高城淳一の別名。 #1
 ちなみに#5結婚披露宴の名札によれば、ウラセは、漢字で「浦瀬」淳一。

【王手(逢うて)嬉しや別れのつらさ】
 記者クラブでの、将棋対局中のシャレ言葉。 #2

【教えてやろうか?】
 爆破事件の実行犯に軟禁されていた女スリ・楠侑子。見張り役の須藤孝に、自ら
縄で縛れとすすめて、腕を縛らせるが、すぐ縄を抜けてしまう。
 どうすりゃいいんだと悩む、ちょっとおつむの足りない須藤に、縛り方を教える
楠。
「カンタンさ!」
と、須藤を縛り上げて、まんまと逃げる。シリーズ中屈指のコントシーン。 #7

【おチカさん】
 溜り場「ひさご」の女将。記者達のマドンナ。演じるのは、相馬千恵子。(TV
版キャストは、坪内美詠子。)
 娘のヤスベエ・丘野美子は、日報のイナちゃん・滝田裕介と結婚する。

【お茶汲み三年】
「お茶汲み三年と言ってね、これも大事な修行の一つさ。」 #9ムラチョウ
 ムラチョウの部屋を訪問した日日ガンさん。側にいた新米刑事エンちゃん・玉村
駿太郎、お茶を出そうとしたら、お湯が切れていた。汲んでまいります、と殊勝に
一礼して足早に部屋を出る。
「いやあ、かまわんでください。」と恐縮するガンさんに、先述のムラチョウのセ
リフ。
 新米刑事も大変だな、と同情するガンさん、しかし、下心満々で、エンちゃんを
呑みに誘うのであった。

【お茶漬】
 小料理屋「ひさご」、記者達の空腹をつかのま満たす、名物ファストフード。
「まだこれからお茶漬が……」「バッキャロー!」 #9日日ガンさん&ウラセ

【おつけのぬるいの】
「おつけ(おみおつけ)の温いのと、ブンヤのもたついてるのは始末におえないか
らな。」 #4日日ウラセキャップ

【折も折とて】
 アイザワキャップ・永井智雄の慣用句の一つ。#1,2,3,4,5,6
 こういう時だから、といった意味。

【お若ェのお待ちなせえ】
「待て待て、お若ェのお待ちなせえだ。」 #5アイザワキャップ・永井智雄
 御存知、歌舞伎の名セリフ。幡随院長兵衛が白井権八にかける言葉。
 →鈴ヶ森(題目塚の場)、四世鶴屋南北「浮世柄比翼稲妻」より

【ガイシャ】
 被害者の意。イントネーションは歯医者と同じ。

【切ってもまた出る芝居の幽霊】
 記者クラブでの、囲碁対局中のシャレ言葉。 #3

【900万都民】
 当時の東京都の人口。まだ一千万に達していない。
 東京都の統計によると、都下・島嶼部を含め、1960年の都の人口は968万人。
「900万都民に協力を求めて」 #7毎朝サクライキャップ・雪丘恵介
「900万都民の(安心の)ためにも」 #8日報アイザワキャップ・永井智雄

【共同戦線】
 1社だけの問題ではない、と各社協力、分担して共同取材を敢行。
 タイムスのオカさん・相原巨典の記事に端を発する脅迫事件に対応するために、
日報アサノ・綾川香と毎朝シマヅ・天野研のコンビなど、社を横断する異例のタッ
グが組まれた。 #10
 #3では、共同戦線という言葉は使われないが、記者のメンツを賭けて、タッグ
を組む。

【今日は他人(ヒト)の身、明日は我が身】
「今日は他人(ヒト)の身、明日は我が身って言うでしょ、ナンマイダ、ナンマイ
ダ。」 #3タイムス、タケさん・高原駿雄
 他社の失策(誤報)をきっかけにする毒死事件を、朝刊に間に合わなくて惜しい
と言った、毎朝・三原一夫(花村典克)をたしなめるタケさん。

【ギンザ】
「刑事部屋(デカベヤ)銀座」或いは「警視庁銀座」。ムラチョウ、ウメチョウら、
捜査係長たちの部屋の並ぶ、警視庁内の廊下の通称。
 暇があれば、「散歩」と称して、記者達が、特ダネをつかもうと聞込み歩く。
ウラセキャップ「ヒマだったら、ギンザでもサンポしてこい!」
ガンさん「銀座っていうと、バーやキャバレーのたちならぶ?」
ウラセ「バッキャロー、ギンザって言ったら、デカベヤギンザのことだ!」 #2

【黒田節】
 日活映画、チンピラ役常連の黒田剛。
 上野の西郷像のようなギョロリとした目、ガタイはいいが、朴訥な風貌。それに、
あまり上手とは言えない、棒読みのようなセリフ回しがチャーミング。
 誰もそう呼んでいないと思うが、本稿筆者は、その独特なセリフ回しを「黒田節」
と、勝手に呼んでいる。
「ヤスのスケなら、新橋のコルゲン、いや、コルボウって喫茶店にいるゼ。」 #1

【桂馬】
 サツまわり。その心は「とびとびに歩く。」(タイムス・タケさん・高原駿雄)#3

【ケームショ】
 「ここはケームショです!」間違い電話への応答例。 #1,6

【声を張れ】
 電話をしてきた記者に、直接本社と話をさせようと、アイザワキャップ・永井智
雄、受話器同士をくっつける。 #5アイザワキャップ・永井智雄

【講談まがいのヨタ記事】
 日日ガンさんの話す、大げさな現場の様子に、
「おいおい、そんな講談まがいのヨタ記事はオレの趣味じゃねえぜ。」 #9ウラセ

【小平(こだいら)】
 痴漢と報道されてしまった、薬剤師・沢井杏介。
「小平以来の痴漢だと騒いでいる」と大げさなウソつく病院事務長・垂水悟郎。
「え!小平?」 #3
 終戦前後、1945〜46に都内で起こった、連続強姦殺人事件。犯人、小平義雄。

【コドモ】
 新聞社の給仕係の少年。
「コドモさん、これまわして。」 #2日報本社サブちゃん・清水将夫

【ごまかす】
 タイムスのクラさん・内田良平のアダ名は「オトボケの──」だが、女性の扱い
も得意の様子である。
「看護婦をごまかしてきいてきた。」 #1クラさん・内田良平

【殺しだぞー!】
 #6
 未明の110番通報を独占キャッチしてきたスガちゃん。
 伝えられたアイザワキャップは、ベーさんに目配せ。「殺しだぞー!」と叫んで、
折角のスクープを他社に、伝えるベーさん。がっかりするスガちゃん。
 どうせ、朝刊には間に合わない。夕刊までには、サツまわりから各社とも情報を
得る。抜けないのは明らかだから、他社に恩を売っておく、とアイザワキャップは、
スガちゃんを諭す。

【強面(こわもて)でいけ】
 意味不詳。芝浦外人殺しを取材中の、ダンナ・綾川香とヤマさん・園井啓介の電
話に、アイザワキャップ・永井智雄がかける言葉。 #4
 #10にも登場。

【コンチハ相撲(ずもう)】
 大相撲で力士同士の、星の貸し借りの八百長。
 日日に抜かれたお返しだと、日報のアイザワキャップが、ウラセキャップに言う。
「こいつはイッカンお返しのコンチハ相撲ということで」 #2
「コンチハ相撲ですからね、イッカン貸しましたよ。」 #9アイザワ、一課長に。

【最下位決定戦】
 応接コーナーでヘボ将棋に興じるキャップたちを、揶揄するセリフ。 #2

【桜田記者クラブ】
 警視庁2階、245号室。警視庁詰めの新聞記者達に与えられた部屋。
 窓際に、ついたてで仕切られた各社の小間。廊下側には、小間使い・ミッちゃん
のいる給湯コーナー、共同の応接セット、フトン部屋と称する仮眠室がある。
 #9,10では「櫻」田記者クラブ、と旧字体になっている。

【サツまわり】
 警察署を取材して記事をさがしまわる新聞記者。
「サツまわりから情報がはいってね。」#1クワどん・相原巨典

【サブちゃん】
 東京日報、本社社会部のデスク、次長。#1〜3では清水将夫。#9は久松洪介。
 #4〜8,10には、登場せず、アイザワキャップ・永井智雄の一人芝居。
 #3では、「サイゴウサブロウ」であることが確認できる。
 電話をとるときは、#9では、「はい、サイゴウ。」と出た。

【サンポ】
 聞込みに歩くこと。「デカ部屋銀座をサンポしまショ。」

【事件占い】
 事件がなくて暇を持て余すクラブ。応接コーナーで、タイムス、タケさん・高原
駿雄が、碁石を使って、事件の有無を占う。 #8
「ある、ない、ある……、有ると出ました。」

【事件記者】
新米エンちゃん「なんですか、あの連中は?」
ムラチョウ「警視庁記者クラブ詰めの、各社の記者の諸君さ。」
エンちゃん「事件記者ってわけですね。」 #9
9作目冒頭に、久しぶりに、セリフで「事件記者」が登場。
「他社より1分でも早く記事にする、それが我々事件記者の生き甲斐なんだ。」ヤ
マさんが、スガちゃんに、庁内を案内しながら、心得を語る。 #1
「事件記者はその日の風まかせ。」 #1イナちゃん、フィアンセからの明日の誘い
に。

【事件まつり】
 事件日照りに「ひさご」で行われる、雨乞いのような宴会。 #2
「ビールは、お祈りの前のお祓いみたいなもんさ。」毎朝サクライキャップ

【自首してー!】
 殺人の共犯者・石丘伸吾に、恋人・葵真木子がすがりついて、必死で叫ぶ。必死の
形相が、なぜかとても変な顔。 #6

【シャッポ脱いだ】
「なーるほど、こりゃシャッポ脱いだな。」 #10アイザワキャップ・永井智雄
警察側の推理に、脱帽したアイさん。

【三味線を弾く】
 ウソをつく、出まかせを言ってだます。もともと麻雀用語。
「ひいてるのは風邪じゃなくって、三味線じゃないのかい?」 #10タイムスのオ
カさんをアイザワキャップがからかう。

【……じゃよ。……じゃね。】
 クラブの主、日報のハッタ老人・大森義夫の語尾。
「駈けだしの頃にはよくあることじゃよ。」 #1
「革命的宣言じゃね。」 #1

【十四年式】
 旧日本陸軍の制式拳銃。本来、戦後、供出されるべきものだが、将校の私物であ
る拳銃は、しばしば秘蔵され、犯罪に使用されることもある。 #8

【条痕検査】
 ライフルマークの照合。
 拳銃発射時に弾丸に刻まれるキズは、指紋のように、それぞれ固有のものなので、
同じキズのついたタマは、同じ銃から発射されたことになる。したがって、犯人割
出しの有力な手がかりとなる。
 #1,4,9(#4の写真は#1のフィルムの使い回し。#9はセリフのみ。)

【諸君、おどろけー】
 タイムス熊田キャップ・外野村晋、泥酔して叫ぶ。 #4,10

【白タク】
 無免許、モグリのタクシー。またの名をハンカチタクシー。 #9
 白ナンバーの自家用車で「白」タク。当時の営業車、タクシーは黄色ナンバー。

【新聞記者ですよ】
 記者クラブに、夜、酔って抗議に来た男に、あんたたち新聞記者でしょ、と言わ
れて、日日ガンさんが、すかさず答える。 #10
 他の記者をさしおいて、ガンさんが真っ先に答えるのが、らしくて可笑しい。

【新聞てのは人間のためにあるんだぜ】
「新聞てのは人間のためにあるんだぜ、新聞のために人間があるんじゃねえんだよ。」
 スガちゃん・沢本を諭す、アイザワキャップ・永井語録の一つ。 #9

【スイバレ(水晴れ)】
 雨の俗語。#2登場のパンパン・小園蓉子の役名が「スイバレのおトキ」。

【スイマセン】
 日日ウラセキャップの「バッキャロー」と対になってると言ってもよい。シュン
としてあやまるガンさん。
「ガンさんじゃないけど、スイマセン。」#5 他社を抜け駆けのアイザワキャップ

【好きになっちゃったら】
稲垣美穂子「もうあたし、ぜったい新聞記者のお嫁さんなんかにならない!」
相馬千恵子「でも、好きになっちゃったら……、ね。」 #7

【生活反応】
死亡後は起こりえない身体の変化。生前の暴行、傷害の証拠になる。
「生活反応のある傷がこれあだけあるということは……。」#10捜査一課長・松下

【セックス、スリル、スピード】
若者を熱狂させる風俗の要因。スリルの頭文字はTだが、カタカナの(日本語のロー
マ字つづり)の頭の音をとって、通称「3S」。 #2

【競ってきたら一馬身、抜きかえせよ。】
本シリーズでは珍しい、競馬のたとえ。 #10アイザワキャップ・永井智雄

【捜査妨害】
 時として、特ダネ獲得のための行動が、警察の捜査に影響することがある。
「また捜査の妨害をしたってイヤミ言われますよ。」 #5べーさん
「困るじゃないか、こんなこと書かれちゃ。」 #6捜査一課長

【そいつァ春から縁起がいいわエ。】
「捜査本部は?……水上(すいじょう)署?水上署とは珍しいねえ。
 そいつァ春から縁起がいいわエ。」 #7アイザワキャップ・永井智雄
 おなじみ、歌舞伎の「三人吉三 大川端の場」冒頭、お嬢吉三のセリフ。もちろ
ん、元は「そいつァ」ではなく、「こいつァ春から──」である。
 #7の重要人物、楠侑子演じるスリ、役名「おキチ」に因んでいるかどうか。
(但し、発言は、おキチの登場前である。)

【そのこと】
 そういうこと。「折も折とて」と並ぶ、アイザワキャップ・永井智雄の慣用句の
一つ。記者連中も真似して使う。

【タタキ】
 強盗の意。警察用語。

【玉子つけてね。】
 小間使いミッちゃんが注文を取る、おそらく庁内食堂の定食の出前。
柴田新「ミッちゃん、朝食頼む。」続いてガンさんは二人前のサインを出す。
イナちゃん「こっちも。」花村典克「玉子つけてね。」 #8

【ダンナ】
 単独で使用される時は、二人称として代用。「アンタ」「キミ」、といったニュ
アンス。
「ダンナは、すぐ江ノ島にとびまショ。」などと使用する。
 他に、日報のアサノ・綾川香のアダ名は、「アサノのダンナ」、毎朝キャップ・
雪丘恵介は「サクライダンナ」。

【治(ち)に居て乱を忘れず】
 中国の古書「易経」より。
 記者達が取材に出払った夜半、留守番の日日ウラセキャップ・高城淳一と、タイ
ムスのクマダキャップ・外野村晋、無聊を慰めるため将棋を指す。
「あたしゃね、どっか地方の支局にでもまわしてもらおうと思ってるんだ。」
などと、クマさん、気弱なことを言いだす。
 そこへ、御大、日報ハッタ老人・大森義夫、ほろ酔いの様子で、「別荘」ひさご
より帰還。
外野村「御機嫌だね。」
大 森「クマさんもどうじゃね?」
外野村「あるの?」
悠揚、ハッタ老人、背広からトリスのポケット壜を取出す。
外野村「お、ご立派。」
大 森「治に居て乱を忘れず。備えあれば憂いなしじゃよ。
    クマさんも、飲めば昔の元気を取戻すじゃろう。」
ハッタ老人はそう言い残し、ミッちゃんコーナーに下げられた、空の酒壜を振って
確認しつつ、日報の小間へと消えて行く。 #1

【天下泰平】
 たいした重大事件もなく、クラブ的にも紙面的にものんびりした様子。記者達に
は、あまり嬉しいことではない。 #1,2

【天井見ててくんないかな】
タケさん「トミーの条痕検査は、まだできてないって?」
鑑識水谷「ほう、そうですか。」
水谷が後ろに隠した報告書を目ざとく見つけたタケさん、取上げようとして、
水谷「ダメですよ。」
タケ「あのね、新聞記者と警察は持ちつ持たれつ、魚心あれば水心っていうでしょ。
   アンタちょっと、天井見ててくんないかな。」
 観念して、知らん顔するように天井を見るふりをする水谷。後ろ手の報告書を取っ
て、ペラペラめくる、警視庁詰め初日、敏腕「地獄耳の」タケさん。 #4

【東京日報】
 本作品の主人公達の所属する新聞社。#9によれば、有楽町駅前。

【東京は道が悪い】
 タイムスのタケさんを尾行して、おこぼれにあずかろうとする、日日ガンさんの
作戦はエスカレート。ついに、#8では、タケさんの社用車のトランクに潜込んで、
犯人のアパートに到着。
「東京は道が悪いですね。」 #8
 頭をぶつけて、ぼこぼこだと嘆く、しれっとしたガンさん・山田吾一。
 下記資料によれば、昭和35年(1960年)の都道の舗装率は16.7%。
 都心部の舗装率はもっと高いだろうが、あちこち道路がはがれて穴が開き、のべ
つ工事中、というの様子が、当時の映画作品や漫画に登場する。
  ※参考 http://www.maboroshi-ch.com/old/ata/lif_14.htm
 ちなみに、神宮外苑の外周道路は、都内の道路舗装の先駆けであったことが、前
記の資料に書いてある。

【当番幹事】
「幹事社はどこですか?」 #2警視庁広報担当
[当番幹事って誰?]「おたくの浦瀬キャップよ。」 #6ガンさん/ミッちゃん

【ドライブクラブ】
 レンタカー業が一般化する以前に流行した、会員制の貸自動車業。当時は、ナン
バープレートが、黒地に白抜き文字の「わ」ナンバーであった。 #2,9
  ※参考 http://www.aichi-rentacar.gr.jp/history/

【ナシ割り】
 警察用語。遺留品や証拠品、盗品などの出所・行方の捜査。 #9
  ※参考 http://sumim.no-ip.com/wiki/1167.version?id=5
      http://ncode.syosetu.com/n9395bn/1/
 ナシ=品を割出す、が語源ではないかと、本稿筆者は推測。

【抜かれたよー】
 他社に特ダネ、スクープを出し抜かれる。
 休日の朝、日報アイザワキャップ、幼い息子の「抜かれたよー。」の声に起こさ
れる。息子の持って来た中央日日のスクープ記事に、眠い目で頭をかく。 #2

【ね、ハッタさん】
 日報アイザワキャップ、推理をすると、生き字引のハッタ老人に同意を求める。

【ノウカン(濃鑑)】
 関係性が濃いという意味。
「ノウカンだね。」といえば、 間違いない、「濃厚な線ですね」、というニュア
ンス。
 #2,4,7
  ※参考 http://commutative.world.coocan.jp/blog3/2013/06/post-944.html

【ハイクル】
 自転車の俗語。#8に登場の草薙幸二郎の役名が「ハイクルの健」。

【ハイライト】
 1960年6月発売のフィルター付たばこ。したがって、#1〜8には登場しない。
 発売直後にベストセラーとなり、一時期、たばこの代名詞であった。1962年
公開の#10では、青果市場の河上信夫、スガちゃん、タイムスのオカさんが愛飲。
 #2でスガちゃんの吸うたばこはパール。
 さらに同じく#10、未明に他社の電話の音に目覚める、手ぬぐいでほっかむり
のアイザワキャップ。起きたついでにたばこに火をつける。寝ぼけていたか、フィ
ルターに火をつけてしまって、苦い顔をする。ということは、たぶん、彼も、ハイ
ライト党なのだ。あ、でも逆さに出したということは、(ショート)ホープかな。
アイザワキャップ、見直してみたら、#1ではショートホープ、#2では缶ピースを
吸っていた。
 #3で初登場のタケさん、(ショート)ホープ。それをもらったガンさん、吸う
カットには、たしかにフィルターが映っている。

【ハクいスケ】
 美人の俗語。ハクい=キレイな、スケ=女。
「ハクいスケだったもんなァ。」 #7マツ・須藤孝

【バシン】
 新橋の俗称。
「ヤツのスケが、バシンの喫茶店にいるって言ってたな……。」 #1宍戸錠
上野がノガミ、池袋がブクロ、有楽町はラクチョウ、浅草がエンコ(公園の倒置)。

【バッキャロー】
 発音は、「バッキヤロー」に近い。日日キャップ、ウラさん・高城淳一の口癖。

【販売店】
 時に、特ダネにつながる、情報を寄せてくれることがある。 #2,4,9

【パンパン】
 街娼の蔑称。夜の街で客をひく売春婦。
「お時って言ったって、新橋のパンパンだろ?」 #2

【ハンニャトウ(般若湯)】
 酒の隠語。もともとは、仏門で禁忌の品である、酒を示す符牒。 #3

【ピース】
 レイモンド・ローウィのデザインで知られる両切りタバコ。2018年現在も発売
の続くロングセラー。
 まだロングサイズの発売前なので、ショートピースとは呼ばれなかった。
 10本入りで40円、20本入りの「しんせい」も40円なので、倍の値段である。
「せめて死に際にって、いいタバコを買ったんじゃないですかね?」#3ガンさん
#3で、薬剤師・沢井杏介の遺体とともにあった、未開封の3箱のピースが、事件
解決の糸口の一つとなる。沢井の普段吸っている銘柄は「しんせい」であった。
 #3では犯人の病院事務長・垂水悟郎の吸っていたのがピース。同作では、イナ
ちゃん、ウラさんも愛飲。ウラさん、口の中にはいった、葉をペッと吐出すシーン
あり。
 #2ではアイザワキャップも缶ピース(50本入り)を吸うなど、高給取りの記者
連中には愛好者が多い。#5ではイナちゃん、#6ではスガちゃん。
 #10のアサノのダンナ、たばこを吸うシーンで、葉っぱを舌からはがす仕草を
するので、両切りたばこ、おそらく「ピース」だろう、「いこい」や「しんせい」
ではあるまい。

【ひさご】
 記者連中の溜り場、「別荘」とも呼ばれる小料理屋。女将はおチカさん、演じる
のは、相馬千恵子。
「ここでじっくり策を練るのも立派な修行じゃよ。」ハッタ老人 #1
「早くひさごへ夜討ちといきやしょ。」アイザワキャップ #2

【美人の首なし死体】
「わしゃ若い頃、美人の首なし死体と書いて、キャップにドヤされたことがある。」
#8ハッタ老人・大森義夫、ひさごでの一コマ。
 女性の死体、見出しは「美人」と相場が決まっている。

【氷柱】
 冷房装置のない記者クラブ。盛夏には、氷柱が運び込まれ、涼をとる。 #2,3
「えええー、36度1分?こりゃこの夏の新記録ですね!」氷柱にしがみついた日日
ガンさん・山田吾一、寒暖計を読んで悲鳴を上げる。 #2


【便乗願います。】
 現場へ、そっと出かけようとしたイナちゃんに、追いついた日日ガンさん、ちゃっ
かり、日報の社用車に乗せてくれと頼む。
「キャップに飛べって言われたんですけど、ないんですよ、タクシー代。」 #3
 #8では、タイムスタケさんの車のトランクに忍び込んで、目的地到着。

【筆】
 #2で、原稿を修正するのに、朱色の筆を使うシーンが2回登場。アイザワキャッ
プと、サブちゃん・清水将夫。

【フトン部屋】  ★new!
 記者クラブの奥にある仮眠室。本来は仮眠室なのか、本当に蒲団の置き場なのか、
そのへんのことはよくわからない。連絡電話に迅速に対応できるよう、あるいは他
社に動きを悟られぬよう、多くの場合、泊り込みは各社の小間で仮眠する。
「ワシがフトン部屋で寝ると、奇妙に事件が起きる。」 #6 ハッタ老人

【プレスマンシャツ】
 プレスマン=新聞記者。記者愛用のシャツの形状。
 第一ボタンをエリの下につけて、ネクタイの有無を問わずに着こなせるシャツ。
  ※参考 http://tenshoku.ca-ss.jp/words/work/ブ/プレスマン・シャツ.html
  ※参考 http://shop.plaza.rakuten.co.jp/doi-shirts/diary/detail/201409110002
「せっかく土産にもらったプレスマンシャツだ」と、旅館圓山荘の主人・待田京介
が、新婚旅行でやってきた旧友、イナちゃん・滝田裕介からもらった高島屋製のシ
ャツを、早速着て張込み。 #5

【ブロックサイン】
 応接コーナーでボクシング中継に熱中する記者連中。サンポから情報をつかんで
来たイナちゃん、アイザワキャップを連れ出そうと、せき払いをして、腕をさする
ブロックサインを送る。 #1
 #2では、ベーさんがアイザワキャップに。

【ブンヤ】
 新聞屋、つまり新聞記者のこと。
「ブンヤはヤマを追っかけるのが目的で、ヤマを作るのが仕事じゃないんだ!」#2

【ペー】
 ヘロインの意。麻薬。 #1

【ヘイ、アイザワ。】
 日報アイザワキャップ・永井智雄が、電話に出る時の口癖。
「ヘイ、アイザワ。おう、サブちゃんか。」

【ベタ記事】
 写真も図版もなく、紙面の片隅に小さく載る記事。
「印旛沼に身元不明の水死体」 #10、一応、二段である。

【ボエーン】
「夕刊でボエーンと」 #6アイザワキャップ・永井智雄

【僕は警視庁の……】
「僕は警視庁の……。」「え、警視庁?」 #1イナちゃん、#4スガちゃん
 聞込みで記者の使うトリック。
「僕は警視庁の、記者クラブの者って言おうとしたんですけどね。」
 消防署の方から、と客をあざむくとインチキ消火器売りに似たものがある。

【ホトケ】
 死体の意。
ムラチョウ「全署に一斉手配をしておいたよ。」
ガンさん「この御礼は、ホトケの一つや二つも作って進呈します。」
ウラさん「バッキャロー、縁起の悪いことを言うんじゃねえ!」 #3

【ミッちゃん】
 記者クラブの小間使い。
 #1〜4では森島富美子、#5〜8は福田文子、#9,10が葵真木子。
 #9では、ガンさん・山田吾一と、結婚間近ともとれるセリフがある。

【無益な抵抗はやめろ!】
 トラメ(拡声器)片手に、刑事ドラマ、お約束のセリフ。#9で初登場。「無駄
な」ではない。
「無益な抵抗はやめろ!お前はすっかり包囲されている!」#9ムラチョウ宮阪将嘉

【無駄ボネ折るのも給料のうち】
 徒労に終わった取材を嘆くスガちゃん・沢本忠雄にベーさん・原保美がかける言
葉。 #4

【ムラチョウ】
 警視庁捜査一課、田警部。宮阪将嘉。
 #1によると、4号室。#9では2号室。
「鬼警部と呼ぶのは君(ヤマさん・園井啓介)くらいのモンでね、みんなはホトケ
のムラさんと呼んでくれるよ。」#1

【もうカネ貸してやらねえぞォ】
 毎朝にスクープを抜かれたアイザワキャップ・永井智雄の恨み節。 #9

【モンタージュ写真】
 #6で登場。#9では、顔の下半分隠したモンタージュ写真。

【約束のカネをもらいに】
 保険金詐欺目当ての爆破事件。実行犯の片目の男・岩下浩が、依頼主の敷島商事
にやってくる。 #7
「何しに来た!」と怒る、社長・深見泰三に、
「約束のカネをもらいに。」と手を出す岩下。
 なんということはないのだが、その声のトーンと手の出し方がコントっぽい。

【ヤッコさん】
 三人称、「アイツ」「彼」の代用。特に警察用語でも記者用語でもないが、好ん
で使われる。
「ヤッコさん、苦労しますぜ。」 #1まっつあん・久松洪介

【ヤマ】
 事件。
「ヤマだよ!ムラチョウはあんなときが一番くせえんだ!」 #1ヤマさん・園井啓介
「ヤマなくて、ガンちゃんソファーでヒゲを抜く、じゃね。」 #8ハッタ・大森義夫

【ヤミ血液】
 当時は、現在の無償献血以外に、血液の売買がごく普通に行われていた。正規の
血液業者ではない、モグリの血液業者が扱う血液。 #2

【ヤミドル】
 1ドル=360円の固定相場の時代、しかも外貨が容易に手に入らなかった。
 厚木や立川の米軍基地の米兵などから、違法にドルを仕入れて、法定相場より高
く売って儲ける、ヤミの業者・ブローカーがいた。
 例えば1ドルが400円でも、輸入品を売りさばいて稼ぎたい業者には、決済に必
要なドルは、少々高くても需要があるのだ。
「オレは闇ドルを商売にしちゃいるが、偽ドルは扱っちゃいねェんだ!」 #5

【夜鳴きそば】
 チャルメラの音とともにやって来る、屋台のラーメン。ガンさん・山田吾一の大
好物。
[ちょっと行ってきます。][水口の行先に心当たりでもあるのかい?][いえ、
腹が減ったんで夜鳴きそばを……。]#3
 #4では、スガちゃんとガンさんが、一緒に屋台のラーメンをすする。


【ワカ末】
 何かと出てくる特効薬。中滝薬品の胃腸薬。もちろん、TV版には登場しない。

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