■TOWER GOD 《たわごと》 2023〜24■
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2024年8月某日 真夏の夜の、余談 ▼ ▲
8月中席の浅草演芸ホール昼の部は、大喜利に恒例「住吉踊り」。落語協会以外の
芸人も多数集結するから、「楽屋は舞台裏通路までごったがえしている」と聞いてい
たので覚悟して楽屋入りしたけれど、私は早い出番の代演なので、まだ、2階の色物
楽屋もがらんとしていた。
1本前の出番の三遊亭金八師匠――住吉連中の番頭でもある――が、寄席ではおな
じみのマクラを振ると新鮮に反応するあたり、素直な良いお客である。
お囃子の、はる師と、きょう師の爪弾く「じゃじゃ馬億万長者」に乗って舞台へ、
1階がすでに8割方埋まった客席、取りこぼさないように丁寧にネタを置いてゆく。
「東京タワーの歌」も非常に盛り上がって1番を終え、得意げにポーズをとったが、
ポカンとした客席から反応がない。浅草らしいパターン。
だんだん混んできた楽屋を辞して、今席ちょうど上方から鈴本演芸場に十日間ゲス
ト来演中の、露の新治師匠に御挨拶しよう、と思って銀座線で上野広小路へ。新治師
には、先日、大阪の繁昌亭に私が出演中、御馳走になったのだ。師がテレくさそうに
「これ飲んでもらいたい思いましてな。」と、居酒屋のメニュー短冊を指差したのは
「東京サワー」!
さて、たしか、仲入の出番だったと、鈴本のテケツ(切符売り場)で楽屋入りを確
認したらマダだという。それもそのはず、昼席ではなくて夜の出番であった。そうい
えばそうだった、暑さでどうかしている。翌日出直すことにして、暑さ回避に、鈴本
前の階段から地下通路に降りる。
すると、反対側の、上野駅の方から、黒の半袖ポロシャツに白いチノパンの人間国
宝が、手ぶらで身軽にやって来る。
はだか「おはようございます。」
雲助師「お暑いですねェ。」
亀戸梅屋敷で、落研の後輩、もちろんいいトシしたОBたちが素人落語会をやって
いるので、まとわりつく猛暑をかきわけ顔を出す。交叉点の角にデンと構えた炒り豆
屋が移転していてタメ息をつく。
打上で馬鹿話、二次会に行く連中と別れてひとり、総武線のホームのはずれで電車
を待っていると、突然、花火が上がる。平井寄りだ、打上場所は近いのであろう、立
ち見とはいえホームが特観席に早変わり。後で調べると、亀戸中央公園の夏祭りだっ
た。時間は30分くらいと短いようだが、惜しみなく打ち上る。
蒸し暑いから、途中で家路に着く。山手線を日暮里駅で降りると、ホームにピンク
の花火。林家ぺー師匠が赤羽に向かう京浜東北線を待っていた。思い返すと、昨晩、
私が浅草の夜の代演に入ったのが、ペー師の出番である。これまた奇遇。いや、余談
ですけど。
2024年7月某日 落語協会員として認められたとみられる ▼ ▲
朝、暑さに目覚めると、遠くミンミンゼミの声を聴く。ひとり勝手に気象庁より先
に、梅雨明け宣言をしてみたが、お昼のラジオニュースで「梅雨明けしたとみられる」
の公式発表。
「したとみられる」なんていうのは宣言ではなくて、梅雨明け希望、くらいの曖昧な
表現だと思うけれど、別に気象庁自体は「宣言」しているわけではないか。
午後1時、携帯電話が震えて、「落語協会事務局」と発信先表示。また代演依頼か
な、シメシメ、とスケジュール帳を開いて受話ボタンを押す。
「寒空はだかでございます。」
「落語協会のイトーです。
はだかセンセイ、本日、理事会がありまして、8月上席から正会員に決定いたしま
した。」
心構えができていなかった私は座り直して、簡潔に御礼を述べる。
昨年の8月1日付けで、1年間の年季を切った「準会員」になったので、ぼちぼち
入会の可否の沙汰が下る頃だとは思っていたが、裁決する理事会は翌週(月末)だと
推測していた。
今後、特に改まって手続きや儀式があるわけではないし、何が変わるわけではない。
念願の落語協会員として認められたことについては、嬉しい、というより神妙な気分。
とはいえ、「落語協会の寒空はだかです」と晴れて名乗れるというのは、華々しいこ
となのだ。
2024年7月某日 都知事選結果雑感「覚悟の無い論理」 ▼ ▲
小池3.0には、さしあたりこの狂った暑さ対策を、首都防衛などという前になんとか
してほしい。
手始めに、オリンピックで提案したかぶる日傘を、全都民に配る。お礼行脚で全都に
打ち水をして回る、……あ、八丈島だけでもいいや。
私が新都知事を選ぶ基準は、東京都がよくなるかどうかではなくて、私にとって納得
できる住み心地になるか、である。
選挙結果で一番頭をかかえたのは、2位石丸伸二で得票率24%という高さ、そして、
田母神俊雄の得票率の低さ。
これは、比較対照して物を考える人が少ないということである。自分の基準が無くて
人任せな有権者が、いかに多いか。
田母神大将の政策には同意しないけれど、考え方の理解はできる。
支持者たちにも信念が感じられる。
蓮舫と田母神が争って、蓮舫が負けるならあきらめるしかないが、百合子と伸二では
なあ。
1・2位合わせて67%、投票した人の実に三分の二は、信義も信条もない、あるとす
ればカネという尺度だけだ。
アイドルを支持するファンに何を言っても無駄である。
せめて若者ならば、伸二ではなくて安野たかひろに入れてほしい。
蓮舫3位というのは、これは現実の人気の現れなのだろう。不器用だけど、それでい
いのだ。狡猾な選挙戦術、宣伝技術を弄していたら私は嫌である。
インスタグラムで、すっぴんの姿を発信する蓮舫は、鼻持ちならないかもしれないが、
かわいいから赦す。
なんだか、テクニックが上手な人がエライという風潮は苦手だ。
都民はなぜ目を覚まさないのだろう、というのは愚問である。
目を覚まさない方が、ラクなのだ。
案外、そのへんはみんな分かっているから流されるのだ。
目を覚まさせようとするなら、根気よく説得するしかないのである。
およそ世の中の争いの根源は貧しさにあるという。
ハラが減るから腹が立つ、というのは真理だろう。
貧しさから脱出するために教育がある。
国を支えるために教育があるのではない。
とはいえ、今回はドクター中松に投票できなかった自分も、所詮は信念の無い打算的
人間か、と反省せざるを得ない。
次回はきっとドクター中松に投票しよう。
そして20年後の新千円札は、ドクター野口、ドクター北里ときてドクター中松だ。も
ちろん、存命中の生き札様だ。
元々、世の中の裏道をあえて歩いてきた私が、メインストリームを語ること自体、お
こがましい。
カーナビを便利と思うことが社会的には正しいのであって、あえて地図を広げるのが
好き、と言ってる自分はズレているのだ。
例によって恰好つけたことを長々と書いてしまったが、今、自分の根本的な誤りに気
がついた。
東京都民という田舎者に、江戸ッ子の価値観を期待した自分が馬鹿なのである。
居残り佐平次曰く、
「手前ェ一人の才覚で世渡りするからにゃァ、へへ、首が飛んでも動いてみせま
さァ!」
――元は、四谷怪談のセリフに引掛けてるらしいですけどね。
こんな文章を載せると、野暮だったなと、どうせ後悔するんだけど、まあいいや。
2024年7月某日 棚からバタやん「オース!」 ▼ ▲
満場の喝采を受けつつ東洋館の舞台を下りて、「どんなもんだい」と鼻を高くした
ものの、その後に上がった芸人の悪趣味なネタにも大笑いする観客を見て、「なあん
だ」と身の程を知る。それが現実というモノである。
♪オレがそんなにウケるわきゃないよ、わかっちゃいるけどやめられない、ときたも
んだ。ひねくれた見方をすると特定の芸人の批判にも取れそうであるが、それは意地
悪な解釈である。
さて、憧れの詐欺師にもヒモにもなれなかった私は寄席芸人をやってるわけだが、
斜めから物事をとらえる芸風からも透けて見えるように、いささか小賢しく世渡りを
している。困ったことには根気がなく、さりとて恥知らずにもなりきれなかったので、
嘘つき政治家(※)にもなれなかったが、根っこの部分でつながるところはある。だ
から、話をはぐらかすひとの気持ちはよくわかるのだ。
詐欺師だって泥棒だって、金持ちからカネを巻上げれば庶民は拍手するけれど、貧
乏人から巻上げてしゃあしゃあとしているところが腹立つのだ、小池百合子現職。
底意地の悪さというのがにじみ出ていると思うのだが、案外、気づかれずにすんで
いるのね。やはり、カネの匂いに敏感な連中に守られている人間は強い。
投票による意思表示だけじゃ悔しいから、ののしってやる。オマエの母ちゃん、
でーべーそー!(趣味の悪い芸人だね。)
さて、七夕に待ち人は来るか?
※嘘つき政治家、というのは、政治家=嘘つき、と言っているのではない。
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