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【121-2 下】警視庁物語 血液型の秘密(1960東映東京)監督;飯塚増一
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→【75】警視庁物語 行方不明(1964)
→【89】警視庁物語 ウラ付け捜査(1963)
→【103】警視庁物語 深夜便130列車(1960)
→【114】警視庁物語 顔のない女(1959)
→【120】警視庁物語 遺留品なし(1959)
→【122】警視庁物語 聞き込み(1960)
→【123】警視庁物語 全国縦断捜査(1963)
東映東京撮影所の人気シリーズ、長谷川公之原作「警視庁物語」第13作。
5月の朝、中野区内の雑木林で、野犬狩りの職員が、赤ちゃんの死体を発見する。
2月末頃の出産と思われる嬰児、死後約3日、死因は薬物による中毒死、左肩には
10円玉大のアザ。
近くで発見されたおむつと思われる手ぬぐいには、文京区の酒屋の名前がはいっ
ていた。
警察犬による匂いの鑑定で、嬰児のもと認められ、その酒屋が配ったというお得
意さんから、身元の割出捜査を開始。
同時に、現場付近の産科をあたって、2月末出産の妊婦と嬰児を探すのであった。
警視庁捜査一課の主任警部・神田隆。以下6名の刑事たち。
堀雄二、花沢徳衛、須藤健、山本麟一、佐原広二、中山昭二。
捜査本部は、野方署。「嬰児殺し事件捜査本部」。
後半、轢死事件の担当は、下谷北署。この警察署は偶然にも、3年後、吉展ちゃ
ん事件の舞台となる。
前作「深夜便130列車」で、大阪の素直な新米刑事を演じた今井俊二(健二)が、
女グセの悪い憎たらしい役。
保健所の野犬狩り、警察犬「物品選別」、MN式血液鑑定、民謡酒場。浩宮徳仁
親王誕生。雨中の張込み。
朝の発見から、まる2日の解決。56分のショートプログラムだが、例によって情
報量が多く、次作「聞き込み」への伏線を含んでいる、ということである。
▼捜査の行方・後編[2日目]▼ ▼ストーリー結末▼ ▼ページ末尾▼
松本克平………捜査一課長。冒頭、現場検証と警察犬の物品選別のみ。
神田隆…………警視庁捜査一課(号室不明)、捜査主任。髪を切り立てか?
堀雄二…………同、部長刑事ナガタ。ポーカーフェイス。
花沢徳衛………同、ベテラン刑事ハヤシ。「警察のお茶だって満更じゃないよ。」
須藤健…………同、刑事ワタナベ。ハンチング愛用。
山本麟一………同、刑事カネコ。おなじみソフト帽。犬好きか?
佐原廣二………同、刑事タカツ。地味だが、顔に正義感が宿る。
中山昭二………同、刑事ヤマガタ。小林裕子にあんみつを御馳走。
今井俊二(健二)…嬰児の母親ヤスコの夫・吉本ノブヒコ
東野英治郎……嬰児の母親ヤスコを、一時2号にしていた、旅行案内所社長ノザキ
小林裕子………嬰児の母親ヤスコの同僚・旅行案内所勤務[上野駅前]
星美智子………今井の元内妻、小料理「浮世」のママ[高田馬場]
沢村貞子………嬰児の母親ヤスコのアパート「ひかり荘」、向いの部屋 お喋り
織田政雄………嬰児の母親ヤスコの父 “練馬”
利根はる恵……嬰児の母親ヤスコの父の妻 連れ子らしき子あり「トシコ」
片山滉…………法医医師 今回は現場検証以外に、血液型鑑定で捜査本部に出張
松村達雄………産科医 堀と中山の聞き込み先 “相沢医院”[大曲〜伝通院]
曽根秀介………嬰児の母親ヤスコのアパート「ひかり荘」管理人
谷本小夜子……今井の勤める“東郊不動産”社員
三戸部スエ……嬰児の母親ヤスコと東野が上がった連れ込み宿の女中
山東昭子………民謡酒場の女中・ミツコ [新井薬師・薬師横丁]
打越正八………嬰児のおむつに使われた“伊勢浪酒店”の主人 [文京区関口]
大東良…………嬰児の身元捜しで聞込みの徳衛と山麟に子供の自慢をする八百屋
大木史朗………須藤の張込むひかり荘前で、妻にカメラをねだる夫
三瀬滋子(応蘭芳)…ひかり荘前で、カメラをねだられる妻
岩上瑛…………野方署、警察犬の物品選別で品物を並べる警官
岡野耕作………今井のアパート前で、徳衛と山麟に職務質問する警官
植田貞光………轢死現場所轄・下谷北署の刑事
田中恵美子……嬰児の母親ヤスコ
こまどり姉妹…民謡酒場で歌う店員 歌っているのは「八丈恋歌」
※多摩井敏(クレ表記「麻」)/小甲登志恵/八百原寿子/佐藤淑子
/吉田武彦/木下通子
▲ページ冒頭▲ ▼ページ末尾▼ ▼ストーリー結末▼
◆◆捜査の行方◆◆ ※結末明記 →[1日目]
[2日目]
●朝の野方署捜査本部 神田、堀、須藤、中山 ※事件急展開
※同時刻、徳衛&山麟はヨシモト・今井健二のアパート張込み、佐原はヤ
スコのアパート張込みで不在。
朝、誰もいない本部の電話のベルが鳴る。
ベルトを締めながらあわてて起きだして来る須藤が、受話器をとる。
堀は寝起きでもぱりっとしている。神田は洗面所からかタオルを片手にはいっ
てくる。中山は下っ端らしく、洗った灰皿を手に神田に続いて入室する。
神田に手渡された受話器、相手は下谷北署(台東区)。
谷中墓地近くの線路で起きた轢死事件、その遺体の特徴が、手配中のヤスコ
と似ているというのである。
ナガタ部長刑事・堀雄二と、ワタナベ刑事・須藤健が、現場に派遣される。
※電話では、貨物列車にひかれた、と言っているが、実際には事件現場を貨
物列車は通らない。(※訂正・削除 2020.4.11)
●轢死現場 堀、須藤 ※御隠殿坂橋下(現・根岸2丁目)
所轄の刑事・植田貞光が、堀と須藤を案内する。
ヤスコの写真と遺体の写真を照合、一致して、顔を曇らせる堀と須藤。
※日暮里駅の南方、京成線が国鉄(JR)を跨ぎこす場所。シーンの冒頭、
常磐線の蒸気機関車C57が、京成ガード下を走り抜ける。検証シーンのバッ
クには、京成の青電3両編成。
※「特別機動捜査隊」(1963東映東京/監督;太田浩児)の冒頭の事件現場
もここである。
●ヨシモトのアパート 徳衛、山麟 ※ヨシモト・今井をようやく捕捉
ヨシモト・今井俊二が、どこからか朝帰り。
玄関をはいろうとする今井を、ハヤシ刑事・花沢徳衛と、カネコ刑事・山本
麟一が、後ろから呼びとめ、警察手帳を見せる。
山麟「ヨシモトノブヒコさんですね?」
●捜査本部 神田、徳衛、山麟、中山
刑事達に囲まれた今井が、不敵に質問に答える。
・赤ん坊の殺人を否定。
・赤ん坊の父親であることも否定、産まれた頃、ヤスコはまだ、ノザキの元
にいた。
・3日前に、ヤスコが赤ん坊を預けに来たが、追い返した。
今井「(赤ん坊は自分の子ではないと証明する)方法があるんなら、証明し
たいくらいですよ。」
神田「ホントウかね?」
神田がにやりとしながら返す。電話が鳴って、神田が出る。
●下谷北署 堀、須藤
堀が野方署の本部に電話で報告している。
娘ヤスコの面通しに来た織田政雄が、泣きながらその横を通って、とぼとぼ
部屋を後にする。
織田に一礼して、堀が電話を続ける。
・面通しの結果、礫死体はヤスコにまちがいない。
・ひかれる前に、青酸化合物による中毒死をしていた、よって他殺が濃厚。
●捜査本部 神田、徳衛、山麟、中山
神田「じゃあ、証明してもらおうか。」
今井「……できるんですか、そんなこと。」
ヤスコ、赤ん坊、今井、この三者の血液型を照合すれば、つながりがわかる。
今井「ヤスコの血液型までわかってんすか?」
神田「まもなくわかるだろう、ヤスコさんは今朝がた、遺体で発見された
よ。」
今井「(さすがに驚いたように)……え?」
神田が、山麟に、法医を呼ぶように指示する。
今井に引続き、昨日、ヤスコをどこへ呼出したか問いただす。
今井「きっちゃてんですよ、上野の。頼まれたんですよ、ノザキに。」
中山「えっ、ノザキ?」
・昨日、ノザキの依頼で、ヤスコを上野の喫茶店に呼出した。
・なぜノザキにかわって呼出したかといえば、ヤスコは、ノザキに会いたく
なかったからである。今井にしてみれば、ノザキがヤスコと復縁すれば厄
介払いになる、と喜んで引受けた。
今井の不遜な言動を、山麟や佐原が無言で苦々しく見ている
ノザキのウラをとってこい、と、神田は中山を派遣する。
●下谷北署 堀、須藤
轢死現場から20分ほどの旅館アヤメ荘の女中・三戸部スエが、心当たりが
あると、須藤に連れられてくる。
・ヤスコが、50歳くらいの細おもての男と、昼から、夜10時頃まで滞在。
・50男は、復縁を迫っている様子、大声でカネを返せ、とも。
所轄の刑事・植田が、駅の売店の女性の目撃証言を持って来る。
・夜10時半頃、雨の中、線路端で言い合いしている、50男と若い女を見た。
●捜査本部 神田、徳衛、山麟、中山
下谷北署からの電話、ヤスコとノザキが会っていたとの報告に、中山に連絡
するため、ダイヤルをまわす神田。
徳衛が、佐原を呼戻すことを、神田に進言。
※卓上ダイヤリーの日付は「11日」。
●ことぶき旅行案内所 中山
小林が中山を所長室に案内する。
中山「警視庁の者ですが。」
所長ノザキ・東野英治郎に、中山が任意同行を求める。
●捜査本部地下?「第二取調室」 神田、中山
階段を降りてくる神田。取調室にはいる。
斜めに顔を向けている東野に、神田が丁寧に質問を始める。
・昨日11時頃、喫茶店で、ヤスコと今井と3人で会った。
・今井に呼出させたのは、ヤスコが東野に会いたがらないからである。
・今までずいぶんカネもつぎこんでいるし、東野は今もヤスコに気があった。
・一緒に帰りたがらなかったので、線路端で別れた。
ふてくされることなく、あまり良いとは言えない行状を照れながら語る、タ
ヌキオヤジ東野。
※東野の吸うタバコ、手に持つタバコのアップが、次のシーンの今井のタバ
コにつながる。
●捜査本部 神田、徳衛、山麟、佐原 ※血液型鑑定
帰してくれ、と今井。ノザキと共犯の可能性もある、と徳衛。
憤る今井に、徳衛が、茶をいれてやる。
「まあまあ、警察のお茶も満更(まんざら)じゃないよ。」
白衣姿の法医医師・片山滉、血液型検査の試薬を持ってやってくる。
今井の耳たぶに、メスで小さく傷をつけ、採取した血液を、ホールスライド
グラス上の試薬に落とす。
ゆらゆらスライドグラスを揺らす片山、神妙に結果を待つ今井。
赤ん坊はO型。母ヤスコもO型。今井がO型なら、父親の可能性が高い。
静まり返った本部に、道場の竹刀の音が聞こえてくる。
結果、今井の血液型はO型であった。
しかし、A型やB型の父親からも、O型の子供が産まれる可能性はある。
そこで、もう一つのMN方式での判定を試みる。
いやがる今井に、徳衛が「鑑定処分許可状」を見せる。
佐原「赤ん坊はOのMNでしたね?」。
ヤスコはOのMだったので、今井がNかMNだとすれば、父親の可能性があ
るのだ。
片山「そうです、Mならば父親ではありません。」
再び静かに結果を待つ本部。抗M血清、抗N血清と書かれた試薬ビンがアッ
プになる。スライドグラスの、「M」が凝集する。
片山「……Nですね。」
父親の可能性を示す結果に、ヒステリックに抗議する今井。確かに断定はで
きない。片手落ちがないように、と、徳衛は東野の鑑定も依頼する。
●取調室 神田、徳衛、中山
徳衛が、神田に、東野の血液型鑑定を頼みにやってくる。
そこに本部から電話。帰ってきた堀から、神田を至急呼出す内容だった。
●捜査本部 神田、徳衛、須藤、山麟、佐原 ※事実が判明
堀が神田に、轢死現場近くのポストに投函されていたという封書を見せる。
「野方警察署 刑事様」、裏に署名はない。下谷、33.5.11、前8-12の消印。
神田「こりゃ遺書じゃないか。」
今井に、ヤスコの自殺を告げる。今井の容疑が晴れる。
神田「ご迷惑をかけましたが、ヤスコさんは、自殺と判明しました。」
今井「……じさつ?」
・昨日の夕刊で事件発覚を知った。
・今井に赤ん坊を突き返されたヤスコは、母子心中を決意する。
・今井のアパート近くの雑木林で、青酸カリで心中しようとしたが、赤ん坊
の苦しむ姿に思いとどまる。
・今井の心変わりを期待していたが、昨日、今井と会って、そこで今井の真
意を知る。
・東野のところへ戻るのはもういやである。「赤ちゃんのいるところへ」あ
やまりにいくため自殺を決意した。
・赤ん坊と同じところに埋葬してもらいたい。
今井「やーれやれ、人騒がせな女ですよねえ。」
神田の、感情を押し殺した表情。
今井「じゃ、ボクはもう、帰っていいワケですね?」
憎々しく喜びを表す今井。
取調室から戻った徳衛から、東野の血液型は、BのMだったと教えられる。
今井「じゃ、やっぱりボクの子だったのかな。どっちにしても、あの赤ん坊
は産まれてこない方が良かったんですよ。」
そう言い捨てて、タバコ片手に今井が本部を後にする。
やるせない空気が、本部を包む。
徳衛「(顔を両手でなでる仕草)ちぇっ、なーんとねえ……。」
堀 「不幸な坊やだ、父親からも、母親からも祝福されなかったんだから。」
神田が佐原に、取調室の東野を帰すよう指示を出す。
●[エピローグ]
楽しそうに赤ん坊をあやしているヤスコのイメージシーン。
子守唄調(中国地方の子守唄)のBGM、エンディングはメジャーコード。
●[エンドマーク]「終」
→[1日目]に戻る →[続編]【122】警視庁物語 聞き込み(1960) ※詳細
■備考
・発砲シーンなし。
・神田、徳衛はスリーピース。
・徳衛は懐中時計。キャラメル常備、ただし、キャラメルの箱にメモは、今回なし。
・神田の「メモペリッ」なし。
・酒場のシーン、壜ビールは、★サッポロ。
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