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【103-1 上】警視庁物語 深夜便130列車(1960東映東京)監督;飯塚増一  →
【103】概要
  【103-2 下】 →【104】 →【102】

 →【114】警視庁物語 顔のない女(1959)
 →【120】警視庁物語 遺留品なし(1959)
  【103】警視庁物語 深夜便130列車(1960)
 →【121】警視庁物語 血液型の秘密(1960)
 →【122】警視庁物語 聞き込み(1960)
 →【136】警視庁物語 十五才の女(1961)
 →【89】警視庁物語 ウラ付け捜査(1963)
 →【123】警視庁物語 全国縦断捜査(1963)
 →【75】警視庁物語 行方不明(1964)

 東映東京撮影所の人気シリーズ、長谷川公之原作「警視庁物語」第12作。
 事件は、港区の汐留貨物駅で、トランクから発見された女性の絞殺体。
 警視庁捜査一課の主任警部・神田隆と、6名の刑事たち。
 堀雄二、花沢徳衛、須藤健、山本麟一、佐原広二、中山昭二。
 東京の貨物の表玄関・汐留駅を振出しに、大阪、愛知へも捜査が及ぶ。
 中盤の舞台は、荒川区の隅田川貨物駅近辺、南千住、三河島界隈。
 クライマックスは上り夜行鈍行、130列車。
 ゲストスター、加藤嘉山茶花究。ヒロインに小宮光江
 キーとなる手がかりに、コンタクトレンズ。
 季節は歳末。捜査初日から6日目早朝までの物語。
 事件発生は、捜査開始の4日前より以前。
 捜査本部は所轄・愛宕署(港区)。「トランク詰殺人事件捜査本部」。
 「準本部」に、大阪府警本部(中央区)。

松村達雄………警視庁捜査一課長
神田隆…………(捜査一課x号室)主任警部。温厚なボスだが、終盤ヒートアップ。
堀雄二…………刑事ナガタ。プレスシートに長田部長刑事。ポーカーフェイス。
花沢徳衛………ベテラン刑事ハヤシ。同、林刑事。口癖「ああ、なるほど。」
須藤健…………刑事ワタナベ。同、渡辺刑事。ハンチング。今回あまり活躍なし。
山本麟一………刑事カネコ。同、金子刑事。ソフト帽のダンディ。
佐原広二………刑事タカツ。同、高津刑事。神田隆と留守番が多い。
中山昭二………刑事ヤマガタ。同、山形刑事。独身。絵入りの図表を誉められる。


 東京の「貨物の表玄関」、汐留(貨物)駅。
 3日前に到着した、発送元、荷受人とも宛て所不明の、大きなトランク。大阪・
天王寺駅から送られたそのトランクから、下着姿の、女性の死体が発見される。
 目には、当時まだ珍しいコンタクトレンズを着用していた。
 解剖所見によれば、30歳前後。死後1週間程度。絞殺による窒息死。暴行の形跡
なし
。鑑識の指紋鑑定では前科なし
 鉄道関係か、旅慣れた者の犯行と思われる。
 手がかりとなるのは、荷札トランク、下着(ブラジャーパンティー)、コン
タクトレンズ

 まずは、被害者の身元の特定が急務と、準捜査本部の置かれる大阪府警本部へ、
堀、花沢、山麟の3人が、夜行列車で乗込み、合同捜査

 犯人の特定の手がかり、荷札とトランクからは難航が予想されたが、天王寺駅へ
トランクを持込んだ人物は、駅係員の証言によれば次の通り。
27、8歳。色白で細面の男。大阪弁ではない。
リヤカーを自ら牽引、野球帽の少年(小学5、6年生くらい)を同伴
 聞込みの結果、トランクは関東製。

 また、被害女性の着用物については、聞込みで次の情報を得る。
・下着は、グラマー印。地元関西製で、大阪ならどこでも入手可能。
コンタクトレンズは、名古屋製。大阪の他、東京にも出回っている。
・コンタクトレンズは、レンズのカーブを検測すれば、販売した客の割出しは可能。
 その他、家出人、捜索願の出ている者から、被害女性に該当しそうな人物の聞込
み。
 以上、初日と2日目の情報を糸口に、刑事達の地道な捜査が始まる。

◆◆出演者◆◆ 
 ★……東映第5期ニューフェイス(1958年合格組)
【103-2 下】※犯人明記 

加藤嘉…………大阪府警本部、捜査主任
山茶花究………大阪府警本部、部長刑事イチカワ。花沢とは知己、コンビを組む。
今井俊二………大阪府警本部、新米刑事ミズキ。大の南海ファン。
久保一…………府警本部刑事テラダ。玄関で出迎え。山麟とタッグ。
稲葉義男………東京鉄道公安室、公安官(警察権を持つ国鉄職員、現在は鉄道警察隊)

小宮光江………レビューガール・花山あや子。犯人の恋人。京成沿線在住。
河野秋武………軽三輪の運送屋・深尾。犯人の依頼で、トランクを隅田川駅へ運ぶ。

織本順吉………隅田川貨物駅員イシカワ。件のトランクを受付ける。
清村耕次………軽貨タクシー運転手。大阪で、梅田貨物駅から、トランクを運ぶ。
菅井きん………犯人の下宿・松美荘の1階。サンダル糊付の内職。ベンゾール中毒。
大村文武………江戸川区のそば屋店員オカザキ。犯人の元同僚。小宮の存在を示唆。

片山滉…………警視庁法医医師。白衣にメガネ。
滝沢昭…………府警本部刑事、リヤカー聞込みを堀と。「遺留品なし」の羽田職員。
石島房太郎……愛知県、干拓地を案内する刑事。ずさんな堤防工事を嘆く。「なも。」
山本緑…………警視庁の婦人警官。小宮の身体検査を実施。

川崎玲子★(プレスシート参考)…問屋街の下着店の女店員。
藤里まゆみ……大阪のコンタクトレンズ店の女医。心斎橋あたり。標準語。
利根はる恵……被害者候補(コンタクトレンズ)の旅役者の姉。天王寺近辺。
八代万智子★…教師ヨシオカ。被害者の捜索で候補(コンタクトレンズ)の1人。
沖野一夫………汐留駅員 トランク開扉
打越正八………汐留駅員 トランク開扉立会
浦野みどり★(プレスシート参考)…レビューガール。小宮のヘルスセンター同僚。
日尾孝司………天王寺駅員 制服  ※18.1.16訂正
滝島孝二………天王寺駅員 作業着 件の荷物を受付けた
長嶋隆一………梅田駅員 記事を見て心当たりありと準本部へ
青山定司………梅田駅員、トランクを引き渡した係員。


貨物専用のターミナル、汐留駅は、後に廃止されて、再開発後はシオサイト。日本
テレビや電通の超高層ビルが建並ぶ。
愛宕署は、アーチ型の玄関を持つ石造り、風情のある旧庁舎。捜査本部の窓からは
東京タワーが間近(という写真パネル)。
荷札によれば、トランクの荷受人は荒川区三河島5-472「宮本一郎」。内容物は、
ミシンとしてあった。
トランクが積まれて来たのは、 前々々日の早朝4:50に到着した、稲沢操車場(名古
屋)仕立ての962列車。

トランクを受付けた貨物取扱所のある天王寺駅は大阪の南のターミナル。通天閣で
おなじみの新世界や、ドヤ街・釜ヶ崎の近く。
花沢・山茶花のオジサン刑事2人が、下着の聞込みに行くのは、おそらく、船場の
南久宝寺繊維問屋街。準本部の捜査地図に、久宝寺町と書込まれている。
大阪城を望む、大阪府警本部旧庁舎。59年2月28日に完成したばかり。
                   https://www.police.pref.osaka.jp/01sogo/history/


  刑事・花沢「トンタク……?」
  法医・片山「コンタクトレンズです。」

  花沢「ああ、あのメガネの似合わない女の人が気取ってつける──」


◆◆捜査の行方◆◆ ※結末は下篇ページに→【103-2 下】

[プロローグ]  ※下線部訂正(2016.11.13)
   巨大な貨物駅、汐留駅の空撮。
   「東京、汐留駅の構内。」、NHKの名アナウンサー・藤倉修一のナレーショ
   ンで、「貨物の表玄関」汐留駅の活気ある風景が映出される。
   突放される貨車、横に取り付いた係員が、足踏みブレーキをポンピング。
   続いて、到着した小口貨物の説明。
   配達便ではない、駅止め扱いは、到着の通知が、荷受人に送られる。それが
   返送された場合、差出人に照会して指示を仰ぐ。
   ところが、ここに、差出人も宛て所不明の大きなジュラルミンのトランク。
   一昨々日(さきおととい)早朝到着の、この引き取り手のない小口貨物から、
   腐敗臭がしはじめたので、「第三種事故」として、鉄道公安官立会いのもと、
   トランクを開けてみたところ、中には下着姿の女性の死体が、折畳まれて詰
   められていた……。

[タイトル/スタッフ/キャスト/監督]
   ※女性死体シルエットのイメージカット
   ※キャストのトップは4人、堀雄二/今井俊二/小宮光江/中山昭二


[1日目/12月12日]

●汐留駅貨物保管庫
 警視庁捜査一課長・松村達雄立会いのもと、現場検証。
 法医医師・片山滉の見立てによれば、死後10日間程度、絞殺による窒息死。暴
行の有無は、解剖してみないとわからない。
松村「暴行の形跡がないとすれば……、犯人はガイシャの身元がわれるのをおそれ
   て、はだかにしたと思われるんだが……。」
神田「痴情か怨恨か、いずれにしても、犯人は交通関係か、旅慣れたものの犯行と
   いうことになりゃあせんでしょうか。」
 下着姿の被害女性の目の中から、コンタクトレンズが発見される。
 耳慣れない用語に、
花沢「トンタク……?」
片山「コンタクトレンズです。」
 説明を受けて、
花沢「ああ、メガネの似合わない女性が気取ってする──。
山麟「初めてですね、死体からこんな物が出るのは。」
 神田の指示で、早速、刑事達は動き始める。
 須藤、被害者の指紋から、前科の有無を照会に。
 中山は、死体に付添って、解剖の結果を待つ。
 佐原は、鑑識に行って写真の手配を。
 そして、トランクの引受が、大阪の天王寺駅だというので、一部の刑事は、大阪
へ行くことになる。

●愛宕警察署
「トランク詰殺人事件捜査本部」
 捜査主任・神田の元に、本庁から出張旅費の封筒が届けられる。それを、デカ長
・堀に渡すところに、堀へ、妻からの電話。出張の支度を詰めたバッグは、息子が
東京駅ホームまで運んで来るという。
 中山の解剖結果の報告を待たずに、堀、花沢、山麟の3人は、東京駅へと急ぐ。

   ※出張旅費の受渡しや、急な出張への家族の対応など、そういう細かい描写
   も楽しい。
   ※堀夫婦の電話の後、神田は大きなくしゃみを一つ。口にあてた右拳をその
   まま左肩に持っていって、トントンと叩く。

●東京駅15番線ホーム
21時45分発、急行列車〔月光〕号大阪行──」のアナウンス。
 野球帽をかぶった少年・住田知仁(風間杜夫)が、ボストンバッグを重そうに持っ
て待っている。階段を上がって来た父親ナガタ部長刑事・堀に届けるなり、野球選
手のプロマイド代をねだる。どうやら、そのために、お使いを買ってでたのだろう。
 発車のベルが鳴る。動き出す列車、そこへ、解剖報告を持って、中山が駈けてく
る。
「死後1週間程度、暴行の形跡なし、30歳前後、肋膜を患ったあとあり、詳しくは
ここに。」
 窓越しに紙片を渡す。3人を乗せた列車は、闇の中へ消えて行く。

   ※プレスシートには、林刑事・花沢の家族の名前があるが、出演シーンなし。
   おそらく、この、出張出発に関するエピソードだと推察する。堀の息子マサ
   オ・住田知仁は、プレスシートには記載があるが、画面へのクレジットは無し。
   ※アナウンスが20時45分発とも聞こえるが、よく聞くと実際の当時のダイヤ通り21時45分発と言っていた。
   ホームの時計も、きちんと21時45分を指している。
   寝台車や2等車も連結しているが、刑事達の乗込むのはボックスシートの
   3等車、軽量車体の新車、10系。他に、重厚なオハ35なども連結している。
   当時の時刻表によると、大阪駅到着は8:24。9時前に、大阪府警に着ける、
   ちょうど良い設定である。


[2日目/12月13日] ※大阪第1日

●大阪城(イメージカット)

●大阪府警本部玄関
 タクシーから降立つ、出張組、ナガタ・堀、ハヤシ・花沢、カネコ・山麟。
 府警本部の刑事、テラダ・久保一が出迎える。

●府警本部内・準捜査本部 ※自己紹介、振り分け
加藤嘉「私が主任です。」
 久保の他、イチカワ部長刑事・山茶花究、やる気満々の新米ミズキ・今井俊二。
山茶花は花沢と、前年春の東京の刑事講習会で、机を並べた仲。早速意気投合。

●東京愛宕署・捜査本部
 電話鳴る、府警本部から出張組到着の報告。口をゆすいでいた主任・神田が聞く。
 若手刑事ヤマガタ・中山、ブラジャー、パンティーなど、イラスト入りの「手掛
り表」を作成。誉められる。

●船場久宝寺町・鞄嚢問屋街 ※トランクの聞込み
 山麟と久保、カバン店から出てくる。

●船場久宝寺町・繊維問屋街 ※下着の聞込み
店員「いやァ……。」
 下着店で、被害者の下着を広げる花沢と山茶花。露骨に怪訝な顔をする女店員。
店員「グラマー印やったら、大阪ならどこでも売ってます。」(大阪弁)
花沢「こういうのを着けるのは、商売の女の人?」
店員「商売って?」
 はっきり映らないので、わからないが、派手めの下着なのか。ごく普通だという
反応の店員。
山茶花「うちらのカアちゃんのことを考えたとったらあかんのや。今時のムスメは、
    月曜から日曜まで、ぞろーっと7枚、色違いで揃えて買うそうな。な?」
店員「へえ。そういうのは大概男の方が……、刑事さんくらいの年配の。」
 オジサンが若い娘に買うと聞いて、バツ悪そうに顔を見合わせる2人。

   ※店員の、おっとりした口調は、船場言葉の名残か。立看板に「エァーの下着」。

●天王寺駅・貨物取扱所 ※トランク荷主の聞込み
 堀と今井。トランクを持込んだ男について、係の小父さん・滝島孝二に聞込み。
男がリヤカーを牽いて(自転車を使わずに)運んで来た。
27、8歳の男。青白い、細面(ほそおもて)、サラリーマン風。
野球帽の少年(小学5・6年生くらい)が同伴。
滝島「中身、ホンマにミシンやったら、5割増やがええか、言うたら、
  『かまいまへーん』って……。」
今井「その男、大阪弁、使わなんだんか?
 16:56発、小口扱い貨物の472列車に積込んで発送したという。

   ※「かまいまへーん」というのは、小父さん、東京弁で「かまいません」と
   言ったつもりが、訛ってしまったのだろう。当時の大阪人なら「かましまへん」と
   いうところか。

●準捜査本部
 府警某刑事・滝沢昭(後で堀と組む)、嘉に報告、被害者は、府警本部では該当
する捜索願なし。いちおう、30歳前後の捜索願の中に、めぼしいものがないか調べ
るよう手配したとのこと。
 電話鳴る。
嘉「はい、準本部。」
 天王寺駅前の食堂から、堀の報告。

   ※滝沢昭は、「顔のない女」では、羽田米軍キャンプの係員。


●天王寺駅前、食堂「天王(テンノウ)軒」
 嘉に、聞込みの報告。付近の貸しリヤカー業者をあたる、と告げる。嘉の、応援
を送ろうかという申出を受入れる。
 今井が、例の男の買ったという荷札を、そのタバコ屋で買ってくる。たしかに、
トランク添付のものと同じであった。
 注文を待つ間、週刊誌を広げる堀に、
今井「部長さんは、野球はどこのファンでっか?」
堀 「さあ……、どこって特に決まったとこはないけど。」
今井「僕は南海の大ファンですわ。」
 何気ない会話、この作品、本筋以外に、野球が何かと絡んでいる。

   ※壁に、「サービス まむし 百二拾円」。他のメニューは、あまり大阪色がない。
   ※このシーズン(1959年)、鶴岡一人監督の南海ホークスは、日本シリーズ
   で水原巨人を、無傷の4連勝で破って、11年ぶりの日本一
   長嶋と同じ58年入団のアンダースロー、エースピッチャー杉浦忠が、シーズン38勝4敗。
   キャッチャーは、ノムさん、野村克也。


●心斎橋(イメージカット)
 クリスマスソングのながれる繁華街。
●同 コンタクトレンズ店 ※被害女性割出しの糸口
 白衣姿の女医、女性客の目に、コンタクトレンズレンズを入れている。
 花沢&山茶花、被害者着用のレンズを見せて、女医・藤里に聞込み。
 名古屋の「日本レンズ」製品だという。東京にも出回っているが、大阪で扱うの
は、この店の他には、病院の眼科。レンズの「ベースカーブ」と「セカンドカーブ」
というものを計れば、販売者の住所氏名は控えてあるので、判明するという。
花沢「じゃその、ペースの度合いを、調べてもらえますか。」
 にっこり笑って承知する優しい女医さん。相変わらず、横文字に弱い花沢。

   ※レンズの端、眼球と触れる部分「ベベル」の処理が、目に優しいのが、「日本レンズ」の
   特徴、と藤里が解説する。
   ※店の外観、ショーウィンドウに「大学堂」とチラリと映る。2018年現在、大学堂本店という
   眼鏡店が、心斎橋筋1丁目に実在するようだ。

●天王寺駅近辺の寺町 ※荷主のリヤカー、手掛りなし
 リヤカー業者の聞込み。堀と今井は、別れて、それぞれ応援の府警の刑事と組ん
で聞いてまわるが、手掛りなし。

●大阪市街俯瞰(イメージカット)
●19:20 準捜査本部 ※トランクは関東製品
 時計は7時過ぎ、外は暗い。
 刑事達、捜査の結果を発表するが、これといった確証は無し。東京愛宕署の捜査
本部から電話がかかる。
堀「金子君が帰ってから報告しようと思ってたんで遅れました──。」
 現時点で判明した情報を話しているところへ、ちょうど、トランクについて捜査
していた、山麟・久保コンビが戻ってくる。
トランクは関東製。大阪では、特別注文ならあるが、該当サイズは無し。
・同じ型のトランクは、百貨店での販売は有り。
●東京愛宕署・捜査本部
 堀と山麟の電話報告を受けている神田。それに耳をすます須藤、佐原、中山。
 東京でも、トランクとコンタクトの線で捜査をする、と神田は告げ、
神田「3人は今夜はゆっくり休んでくれたまえ。」
 大阪組をねぎらって電話を切る。


[3日目/12月14日] ※大阪第2日

●朝の府警本部内・準捜査本部
 主任・嘉が、刑事達の担当を振分ける。
 花沢&山茶花の老練コンビは、引続きコンタクトレンズの線から被害者を。
 山麟&久保は、捜索願からリストアップされた4人の被害者候補をあたる。
 堀&今井は、行方不明・家出人の中で返事待ちの連絡を待つ。
 新聞を広げる嘉、堀にボーナスの話題を話しかけ、互いに嘆いた後、紙面の記事
に目を留める。
嘉「ほう、東京の警視庁は、そうとう締めてまんなあ。」
「くさりきった東京都運輸局」という汚職の見出し。係長3人逮捕、業者に金品を
要求。

●パン工場 ※被害者候補の聞込み
 機械でパンが、自動的に包装されてゆく。
 山麟と久保、所在無さげに待つ。頭に三角巾、女工・谷本小夜子がやってくる。
谷本(明るく)「刑事さんですかァ?」
山麟(気さくに)「あ、髪の毛にパンくずがついてますよ。」
谷本(恥ずかしそうに笑って)「いややわァ。」
 山麟、谷本の元同僚の女性の写真を見せて、聞込み。
谷本「いやァ、ケイコさんやんかァ。この人やったら、失恋して家出したって聞い
   てたけど……。」
久保「その人、近眼やなかったか?」
谷本「いいや、両目とも、1.5やって威張ってはったで。」
久保「そうかァ……。」
 山麟と久保、これは違ったな、と顔を見合わせる。

●「桃谷病院」前
 花沢と山茶花、出て来て、花沢、電話ボックスに。準本部へ電話。
●昼飯どきの準本部 ※梅田駅員から、トランクと犯人らしき男の目撃証言
 その、花沢からの電話を受ける、嘉。うな重を食べる手をとめて。
 コンタクトレンズを処方した患者に、被害者にぴったりの者がいるという。
 続いて、署員が、梅田駅(大阪の、汐留駅に相当する貨物ターミナル)の職員
長島隆一を案内してくる。新聞記事を見てやってきたのだ。
 職員曰く、自分が扱ったトランク、それに、受取った男の容姿がそっくりだとい
う。トランクの重さも60キロで、ぴたり一致。
長島「それが、天王寺から発送した日と、おんなじ日ィなんですわ。」
 男は、その日、リヤカーではなく、「軽貨タクシー」で、引取りに来た。
堀「ケイカー?」
嘉「ライトバンのタクシーですわ。大阪は商いの街でっから、後ろに荷ィの積める、
  タクシー会社が、1社だけあるんですわ。」
 堀と今井は駅員と梅田駅へ。嘉は、そのタクシー会社に手配をすることに。
 
●天王寺界隈、おそらく上町台地某所
 花沢&山茶花、桃谷病院で紹介されたコンタクトレンズ購入者の家へ。
 通天閣を望む高台の粗末な平屋。洗濯をしている姉さんかぶりの利根はる恵
花沢「オガサワラセツコさんのお宅は──」
利根「セツコは妹でっけど。」
 警察と聞いてびっくりする利根。妹は、先月から出かけたきり。旅役者なので
あった。ポスターに書いてあるという、事務所の住所を教えられる2人。

●国鉄梅田(貨物)駅前
 タクシーで乗付ける、堀と今井、駅員。

●梅田駅事務所内
 警察に行った駅員が、引渡し担当の別の駅員を紹介する。
 引取りに来た男は、受付けた駅が渡す「甲片」を示したという。つまり、発送し
た本人が引取りに来たのだ。名義は「長島一郎」。汐留で発見された、死体詰めト
ランクは「宮本一郎」である。
今井「どっちも偽名だとすると、犯人は巨人ファンでっせ。」
堀 「それで、どこから発送されたんですか?
担当「隅田川駅です。」
堀 「なに?!」
 おどろく堀。
 隅田川駅というのは、東京の貨物駅なのである。

   ※汐留駅が西へ向う大動脈の拠点ならば、隅田川駅は、北へ向う貨物のターミナル。
   2018年現在も、コンテナ列車の始発駅として、重要な位置を占める。
   なお、当時の小口貨物は、汐留駅ではなく隅田川駅で受付けても、積み替えや、
   貨車の組み替えを経て、大阪だろうが九州だろうが、連絡船を経て四国へでも運ばれる。
   ※後のミスタージャイアンツ・長嶋、ハワイ出身のエンディ宮本は、当時の2大スター選手。

●梅田駅前/事務所
 ライトバンのタクシーが到着。
 運転手・清村耕次、客の男とトランクについて、刑事の質問に答える。
清村「あんまり見かけんやつでんなあ、あれは。」
大阪駅からタクシーに乗って梅田貨物駅へ、さらに荷物を積んで茶臼山へ。
・大阪駅で男が乗ったのは、14時少し前、(特急)〔第一こだま〕が着いた頃。
今井「茶臼山いうたら、天王寺の手前ですわ。」
と、堀に説明をする今井。
 清村が案内してくれると言うので、堀と今井は、客を降ろした所へ連れて行って
もらう。
今井「(妙にうれしそうな顔で)そうか、案内してくれるか。」

   ※当時の下り特急〔第一こだま〕は、東京7:00発、大阪13:40着。
   電車特急は2往復のみ。これが、東京と大阪を陸路で結ぶ、最速の手段である。

●茶臼山(天王寺公園) ※リヤカーの出所をつかむ、堀のカン
 茶臼山古墳を奥に、和気橋を望む、河底池(通称ちゃぶ池)の前。今井が昨日す
でに、貸しリヤカー屋をあたって空振りの場所だ。
 近くで、子供たちが、野球をしている。
堀 「トランクを預けた男は、野球帽の少年を連れていたと言っていたね。」
今井「さすがは部長はん!」
 リヤカーを貸した子がいないか、子供たちに聞いてみる堀。そのうちの1人・
桜井基男が答える。
桜井「シゲちゃん貸した言うてたわァ。シゲちゃん、お金もろうて、バット買うた
   わ。もうけよったァ。」

●大阪市街俯瞰(イメージカット)
●夜の準本部
 天王寺駅から発送されたトランクと、梅田駅に届いたトランクが同一と判明し、
一段落する準本部。見知らぬ人に、リヤカーを貸すなと親に言われ、少年が天王寺
駅まで着いて来てしまったのが、捜査の決め手となった。
 関係各所の書かれた地図を前に、トランクのたどった経路が、さらわれる。
(東京)隅田川貨物→(大阪)梅田貨物→茶臼山→天王寺駅→(東京)汐留貨物
 被害者については、コンタクトレンズ購入者、つまり有力な候補オガサワラセツ
コを調べてきた花沢が嘆く。
花沢「なんとこれが生きてるんですよ、ちゃんと。
 山麟と久保の追う、家出人・行方不明者の線からは、候補の4人中、3人まで違
うと判明。
 とにかく、トランク、つまり死体は東京からやって来たことが判明したので、
と花沢は帰京
することになる。
 山麟は、残り1人の行方を追うため、大阪に残る。
 ・被害者の下着は関西製なので、被害者と大阪の関連性は残されている。
嘉「事件は東京で起って、また振出しの東京に戻った言うことですなあ。」
 みかんをむきながら、感慨にふける、大阪の捜査主任、加藤嘉であった。


[4日目/12月15日]

●朝の東京、警察車内
 朝日を浴びる東京タワー。
 家に帰る暇もなく、駅から捜査本部に送られる堀と花沢。さすがに眠そうである。
花沢「ゆうべは全然眠れなくて。」
堀 「夜行はダメだねえ。」
花沢「弱いスなあ。」
運転手「捜査は大変ですねえ、私もきのうは、捜査2課の仕事で一晩中走り回って。」
 前日の新聞記事、都運輸局汚職の捜査は、大詰めのようだ。

   強盗、殺人等を扱うのが、堀達の捜査1課。
   ※警視庁刑事部捜査第2課。贈収賄や詐欺横領といった知能犯は捜査2課。
   ※運転手は、相馬剛三。

●愛宕署・捜査本部
 大阪の感想を、神田に聞かれた花沢、やっぱり東京がいい、と言う。
花沢「だいいち、ああ道がわからなくちゃ、刑事商売もあきまへんわ。」
 張り出された、中山製作の手掛り表を目にした堀と花沢。イラストのブラジャー
とパンティがなまめかしい、とひやかして、
花沢「ヤマガタ君も、早くもらわないといけないな。」
中山「やだなあ、よしてくださいよォ。」
 堀は、山麟が今日あたる、不明者の写真を渡す。
神田「ああそれからねえ、トランクを送った男の住所、あれはどっちもでたらめだっ
   たよ。」
 堀と花沢に、今日は休んでいいと言う主任・神田。2人はそれを断る。
堀「そのつもりで帰ってきましたから。」
 堀と中山は、隅田川駅へ
 花沢は須藤と、コンタクトレンズの東京の調製者から、被害者探し。

●隅田川(貨物)駅 ※荒川区、南千住付近 ※持込んだ男についての聞込み
 堀&中山。時計は9時半。
 トランクを受付けた駅員イシカワ・織本順吉への聞込み。昨夜、捜査本部から照
会された時は、上司・小塚十紀雄曰くランデブーで、下宿を留守にしていたという。
 織本の証言によれば、
運込んだのは、40歳前後の運送業者、この辺ではあまり見かけない軽三輪
大阪で目撃された、27、8歳の色白、細面の男ではない
 とにかく、隅田川駅付近の、軽三輪の業者をあたることにする。

   ※大村崑のCMで大ヒットしたダイハツミゼットを代表とする、三輪の軽トラック。
   この頃が全盛期。

●某所、学校 ※コンタクトレンズの聞込み、またも空振り
 女学生がバレーボールをしている。転がってきたボールを投返す花沢。礼を言う
教師・八代万智子に、
花沢「あのちょっとお尋ねしますが、ヨシオカって先生は──。」
八代「ヨシオカは私ですが。」
花沢「はあ……、アナタがコンタクトレンズを……?」
八代「なにか?」
花沢「いえ、ご健在なら結構なんです……。

   ※バックに映る円形校舎、別の校舎の上に「服装学院」の文字。新宿の文化服装学院か?


●隅田川駅周辺、軽三輪の運送業者聞込み
 背後に南千住名物のガスタンク(平型)。
 堀と中山、軽三輪の運送業者、関山耕司に聞込み。冗談じゃない、とイヤな顔を
される。

●昼飯どきの捜査本部 ※山麟召還
 留守番の、神田はラーメン、佐原はカツ丼らしきものを食べている。
 大阪、山麟からの電話報告。不明の家出人は、東京・新宿でパンパンをしている。
神田「もういいから、君は引き揚げてきたまえ。」
 佐原に、その家出人の写真を渡し、売春で前科があれば被害者と指紋の照合を、
なければ新宿へ聞込みに行け、と指示する。

●隅田川駅周辺、軽三輪の運送業者聞込み
 夕暮れの街。初老の業者、河野秋武に聞込み。ジュラルミンのトランクなど、
運んでないという。当日は、風邪をひいていて、寝込んでいた、と証言。
秋武「風邪ですからねえ、表通りの薬屋で3服ほど買わせて、あとは玉子酒飲んで
   寝てましたよ。」
と笑う。

●夜の捜査本部 ※漂う閉塞感
堀「(秋武の件は)薬屋でウラがとれました。」
 結局、軽三輪の運送業者は全てシロ
 売られた同型トランクも、配送先は全てシロ
 荷札からは、犯人の割出は難しい。
 被害者の特定も、今の所、できていない。下着はありきたりで頼りにならず、コ
ンタクトレンズの線は回答のあった者がみな生存。
 そこへ、新宿に、被害者候補のパンパンについて聞込みに行っていた佐原が帰還。
佐原「ダメでした、パチンコ屋で、玉はじいてました。……みんなもダメだったん
   ですか?」
中山「ええ。」
 手づまり感が漂うが、被害者の特定が暗礁に乗り上げた今、トランクを持込んだ
業者を探すしか糸口はない、と、もう一度、業者をあたることにする。
堀「嘘をついてるとも限らんでしょう、もしレツ(連れ=仲間)だったりすれば。」
 目撃者の織本を連れて面通しするのはまずかろう、ということで、府中の運転免
許試験場から、現住所が隅田川駅付近の軽三輪の免許保持者の顔写真を手に入れて

それを織本に見せることにする。


  [5日目/12月16日]◆注意!◆結末明記



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【102】東京のバスガール(1958)
【101】新東京行進曲(1953)
【100】君も出世ができる(1964)
【99】父子草(1967)
【98】地方記者(1962)
【97】花のお江戸の法界坊(1965)
【96】童貞先生行状記(1957)
【95】駅 STATION(1981)
【94】大いなる驀進(1960)
【93】三十六人の乗客(1957)
【92】高度7000米 恐怖の四時間(1959)
【91】キングコング対ゴジラ(1962)
【90】かも(1965)
【89】警視庁物語 ウラ付け捜査(1963)
【88】拳銃0号(1959)
【87】希望の乙女(1958)
【86】旅情(1959)
【85】人間に賭けるな(1964日活)
【84】日本暴力列島 京阪神殺しの軍団(1975)
【83】東京湾(1962)
【82】野獣狩り(1973)
【81】ひとりぼっちの二人だが(1962)
【80】ギャング同盟(1963)
【79】明日は月給日(1952)
【78】もぐら横丁(1953)
【77】好人物の夫婦(1956)
【76】愛情の都(1958)
【75】警視庁物語 行方不明(1964)
【74】喜劇 男の泣きどころ(1973)
【73】橋(1959)
【72】東京の恋人(1952)
【71】特急三百哩(1928)
【70】アリバイ(1963)
【69】私は負けない(1966)
【68】月曜日のユカ(1964)
【67】おんなの細道 濡れた海峡(1980)
【66】続・酔いどれ博士(1966)
【65】ダニ(1965)
【64】硝子のジョニー 野獣のように見えて(1962日活)
【63】誘惑(1957)
【62】集金旅行(1957)
【61】ゴジラ(1954)
【60】閉店時間(1962)
【59】山鳩(1957)
【58】次郎長社長と石松社員(1961)
【57】サザエさんの青春(1957)
【56】背後の人(1965)
【55】重役の椅子(1958)
【54】川のある下町の話(1955)
【53】泣いて笑った花嫁(1962)
【52】はだしの花嫁(1962)
【51】のれんと花嫁(1961)
【50】ふりむいた花嫁(1961)
【49】わたしの凡てを(1954)
【48】愛人(1953)
【47】花嫁のおのろけ(1957)
【46】恋人(1951)
【45】33号車応答なし(1955)
【44】真田風雲録(1963)
【43】嵐を呼ぶ楽団(1960)
【42】サラリーマン目白三平 うちの女房(1957)
【41】人形佐七捕物帖 めくら狼(1955)
【40】流れる(1956)
【39】結婚のすべて(1958)
【38】踊りたい夜(1963)
【37】風流温泉日記(1958)
【36】喧嘩鴛鴦(1956)
【35】早射ち野郎(1961)
【34】香華(こうげ 1964)
【33】その壁を砕け(1959)
【32】おかあさん(1952)
【31】愛染かつら 総集篇(1938・39)
【30】赤い鷹(1965)
【29】人間狩り(1962)
【28】[シリーズ]事件記者(1959〜1962)
【27】地図のない町(1960)
【26】黒い画集 あるサラリーマンの証言(1960)
【25】吹けよ春風(1953)
【24】彼奴を逃がすな(きゃつをにがすな 1956)
【23】我が家は楽し(1951)
【22】花ひらく娘たち(1969)
【21】麦秋(1951)
【20】浮草(1959)
【19】鉄砲玉の美学(1973)
【18】最後の切札(1960)
【17】黄色いさくらんぼ(1960)
【16】空の大怪獣 ラドン(1956)
【15】涙を、獅子のたて髪に(1962)
【14】特急にっぽん(1961)
【13】時をかける少女(1983)
【12】幸福の黄色いハンカチ(1977)
【11】お国と五平(1952東宝)
【10】可愛いめんどりが歌った(1961)/夢でありたい(1962)
【09】充たされた生活(1962)
【08】人間蒸発(1967)
【07】若い樹(1956)
【06】こだまは呼んでいる(1959)
【05】抱かれた花嫁(1957)
【04】新・事件記者 殺意の丘(1966)
【03】空かける花嫁(1959)
【02】現代っ子(1963)
【01】七人の刑事 終着駅の女(1965)


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