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【53】泣いて笑った花嫁(1962松竹大船)監督;番匠義彰  →【54】 →【52】

 →●番匠義彰花嫁シリーズ早見表
 →【05】抱かれた花嫁(1957)
 →【47】花嫁のおのろけ(1957/野村芳太郎)
 →【50】ふりむいた花嫁(1961)
 →【51】のれんと花嫁(1961)
 →【52】はだしの花嫁(1962)
 →【137】花嫁の抵抗(1958)


 蔵前の玩具問屋、京都の老舗呉服屋。浅草国際劇場のSKDレビュー。京都、熱
海。季節は晩秋から歳末へ。
 吉田輝雄をめぐる倍賞千恵子鰐淵晴子
 中年ロマンスが佐野周二高峰三枝子
 後半の舞台は京都なので、今回は上方役者陣が加わる。そして、活発な沢村貞子
環三千世はバーのマダムで、なかなかいい役だ。

 コメディ部門で特に目立つのは、八波むと志と藤山寛美。

 倍賞千恵子は、SKD(松竹歌劇団)の団員、富永早苗、21歳。国際劇場の巨大
なステージでラインダンス、足を上げる。吉田輝雄は、その演出助手、杉山敏男、
26歳。
 吉田は蔵前の玩具問屋「ふじや」の若旦那で、劇場の演助をやっているのは父・
佐野周二には内緒だった。例によって、このへんがこじれて話の幕が開く。

 当時のSKD、トップスターの小月冴子、南条名美、上原町子、天野妙子を中心
にした、舞台のシーンがふんだんに登場する。バリ島のシーン他、何景もサービス。
スター達は、筋にこそからまないが、楽屋風景やオフの京都観光シーンなどで、他
の団員達とたびたび映る。
 倍賞は、トリオユニットのチームを組み、舞台フロントで、コーラスも勤める。


 ●かつて、京都の老舗の呉服屋の番頭だった佐野周二。身分の違いから結ばれなかった「お嬢さん」
 高峰三枝子の娘・鰐淵晴子が、偶然にも、佐野が現在経営する玩具問屋のアルバイトに応募してきた。
  その鰐淵から、彼女の実家が、つまり佐野にとっては格別な思いのある呉服屋が、倒産の危機と聞き、
 一肌脱ぐ決意をする佐野。
  一方、佐野の息子・吉田輝雄は、舞台演出の仕事がしたいと、家を飛出す。ダンサー倍賞千恵子と恋
 仲だが、鰐淵の隣の部屋に引越した縁で、三角関係に発展。孫・鰐淵の家を訪ねて来た祖母・沢村貞子
 (佐野の元雇い主)の暴走もあって、話は進んで行く。


倍賞千恵子…歌劇団員・富永早苗 21歳(絵馬に記名)
吉田輝雄……歌劇演出助手・杉山俊男 26歳(絵馬に記名)
鰐淵晴子……美大生・関本京子、吉田の父(佐野)の店でアルバイト、高峰の娘
佐野周二……吉田の父、玩具問屋「ふじや」主人、「岡本呉服店」元番頭ツネさん
高峰三枝子…【京都】鰐淵の母、清水石段下「岡本呉服店」女将
沢村貞子……【京都】鰐淵の祖母、佐野の元雇い主
桂小金治……佐野の店の番頭・イシカワブンキチ
環三千世……倍賞の姉、BARちぐさのマダム、小金治が惚れて通う

南都雄二……【京都】高利貸・アンザイ  二千万のカタに高峰を狙う
藤山寛美……【京都】旅館の番頭  高峰に融資する金融業者に仕立て上げられ冷汗
芦屋雁之助…【京都】高峰の店の番頭  シニカルな男
西岡慶子……【京都】高峰の店の女中・ケイコ  芦屋と共に、皮肉に南都と接する
八波むと志…歌劇演出家・カメヤマ  マジメだが酔うとだらしない
世志凡太……ラーメン屋「来々軒」出前持  八波にいつも小言を食う
大泉滉………環のバーのバーテン
林家珍平……佐野の店の店員
中村是好……国際劇場の楽屋番
青山宏………鰐淵の見合い相手、伏見の造り酒屋の若旦那・イブキ  沢村が仕組む
佐藤芳秀……京都国際ホテルのフロントマン、貞子と高峰を寛美の席に案内する

松竹歌劇団
   小月冴子、南条名美、上原町子、天野妙子、月影なぎさ、東京子、他



●玩具問屋「ふじや杉山商店」
 台東区蔵前2丁目(7番地)。かつて玩具、装飾品などの問屋が連なった問屋街。
佐野曰く、歴史は浅いが、この界隈では五本の指に入る店。
 都電22番線(南千住〜浅草〜浅草橋〜銀座〜新橋)が、前を通る。
 
●【京都】「岡本呉服店」
 京都東山、清水寺の三年坂下。元禄創業の老舗。看板には「岡本織物店」とある。
 11代360年続き、忠臣蔵、大石内蔵助討入りの装束一切を調えたという。

●浅草・国際劇場
 倍賞の所属する歌劇団の本拠地劇場。東洋一の大劇場とうたわれた、SKD松竹
歌劇団のホームも今はなく、跡地は浅草ビューホテルに。国際通りにその名を残す。
 ステージのシーンの他、屋上が登場。倍賞に沢村が心の内をききにゆく。
 冒頭、「アトーミーック、サーティナイン!」と叫んで登場のラインダンス。舞
台下手、画面左手に倍賞がいる。
 関西公演を行った「大劇」大阪劇場のシーンも、国際劇場の舞台で撮影している。
ステージのツラ、下手のカマチに同じ凹みがあるのだ。

●「光緑荘」
 実家が京都の美大生・鰐淵が借りているアパート。偶然にも、家を飛出した吉田
が、隣に引越して来る。ドアの鍵穴は旧式の前方後円墳型だが、廊下の内装は、新
しめ。壁の電灯スイッチが、当時は珍しい横タイプが上下2連。しかも、パネルと
同じくスイッチが白い。
 建物が細い坂道に面している以外、場所の手がかりがないが、浅草に近い坂道と
なると、上野か湯島あたりを暗示しているか?

●都内某所「BARちぐさ」
 倍賞の姉・環がママ、目当ての小金治が通う。筋立てから推測すると、国際劇場
と蔵前の間、浅草界隈の設定であろう。面する路地の奥に、シリーズ前作「はだし
の花嫁」の月丘夢路のバー「加代」の看板が流用されている。

●東京都美術館
 沢村が鰐淵を連れて美術展の鑑賞。実は、店の窮地を救うべく、「イブキ酒造」
の跡取り・青山宏との見合いを仕組んでいた。

●【京都】南禅寺
 紅葉の南禅寺、石川五右衛門でおなじみ山門下で、佐野と高峰、何十年ぶりの再会。

●【京都】「京松旅館」
 佐野の定宿。お調子者の番頭・寛美が世話を焼く。隣に秋葉三尺坊大権現のある
シーンをもとにすれば、祇園にあることになる。

●【京都】京都国際ホテル
 実名で登場。二条城前、本作の前年1961年開店の豪華ホテル。現在は廃業。
 佐野が裏で絵をかいて、某金融屋が、岡本呉服店に融資話をもちかける。ホテル
のロビーで待つ高峰と沢村の前に現れるのは、髪をテカテカと真ん中に分け、眼鏡
をかけた藤山寛美。これがまず可笑しい。実は、佐野が旅館の番頭に頼んで、むり
やり芝居を打たせているので、だんだん、しどろもどろになってくる。このあわて
ぶりが、さすがは寛美、名人芸である。

●比叡山延暦寺
 SKDの一行、バスで比叡山見物。スター達を交えて、女学生のように和気あい
あいとした一団。根本中堂に揃って絵馬を奉納する吉田と倍賞。

●【京都】知恩院
 吉田に会いにやって来た鰐淵、倍賞が離れたスキに、ふたりきりになる。親しげ
な様子を、遠目に目撃する倍賞。
 お礼参りにきた沢村が、番頭姿に戻ってお客の案内をする寛美に遭遇、佐野の画
策がバレる。甚五郎の忘れ傘。

●熱海
 傷心の倍賞が身を寄せる、叔父が住職だという寺。繁華街の夜景を望む山の上。
下がり藤の地紋が山門の扉に。興禅寺ではないかと思われる。

●錦ヶ浦
 熱海の景勝地、北陸の東尋坊と並ぶ自殺の名所。倍賞を探しに来た小金治、倍賞
が向かったと聞いてあわてて追う。


「刺身にワサビ、天ぷらに大根おろし、ラーメンにはコショーだよ!」(八波)
「私はウソを申しません。」(雁之助)→池田勇人

オープニング ♪おもちゃの交響曲
高峰、佐野、再会のレストラン ♪アニバーサリーソング
鰐淵が見合いを仕掛けられる美術館 ♪展覧会の絵

  
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【101】〜
【100】君も出世ができる(1964)
【99】父子草(1967)
【98】地方記者(1962)
【97】花のお江戸の法界坊(1965)
【96】童貞先生行状記(1957)
【95】駅 STATION(1981)
【94】大いなる驀進(1960)
【93】三十六人の乗客(1957)
【92】高度7000米 恐怖の四時間(1959)
【91】キングコング対ゴジラ(1962)
【90】かも(1965)
【89】警視庁物語 ウラ付け捜査(1963)
【88】拳銃0号(1959)
【87】希望の乙女(1958)
【86】旅情(1959)
【85】人間に賭けるな(1964)
【84】日本暴力列島 京阪神殺しの軍団(1975)
【83】東京湾(1962)
【82】野獣狩り(1973)
【81】ひとりぼっちの二人だが(1962)
【80】ギャング同盟(1963)
【79】明日は月給日(1952)
【78】もぐら横丁(1953)
【77】好人物の夫婦(1956)
【76】愛情の都(1958)
【75】警視庁物語 行方不明(1964)
【74】喜劇 男の泣きどころ(1973)
【73】橋(1959)
【72】東京の恋人(1952)
【71】特急三百哩(1928)
【70】アリバイ(1963)
【69】私は負けない(1966)
【68】月曜日のユカ(1964)
【67】おんなの細道 濡れた海峡(1980)
【66】続・酔いどれ博士(1966)
【65】ダニ(1965)
【64】硝子のジョニー 野獣のように見えて(1962日活)
【63】誘惑(1957)
【62】集金旅行(1957)
【61】ゴジラ(1954)
【60】閉店時間(1962)
【59】山鳩(1957)
【58】次郎長社長と石松社員(1961)
【57】サザエさんの青春(1957)
【56】背後の人(1965)
【55】重役の椅子(1958)
【54】川のある下町の話(1955)
【53】泣いて笑った花嫁(1962)
【52】はだしの花嫁(1962)
【51】のれんと花嫁(1961)
【50】ふりむいた花嫁(1961)
【49】わたしの凡てを(1954)
【48】愛人(1953)
【47】花嫁のおのろけ(1957)
【46】恋人(1951)
【45】33号車応答なし(1955)
【44】真田風雲録(1963)
【43】嵐を呼ぶ楽団(1960)
【42】サラリーマン目白三平 うちの女房(1957)
【41】人形佐七捕物帖 めくら狼(1955)
【40】流れる(1956)
【39】結婚のすべて(1958)
【38】踊りたい夜(1963)
【37】風流温泉日記(1958)
【36】喧嘩鴛鴦(1956)
【35】早射ち野郎(1961)
【34】香華(こうげ 1964)
【33】その壁を砕け(1959)
【32】おかあさん(1952)
【31】愛染かつら 総集篇(1938・39)
【30】赤い鷹(1965)
【29】人間狩り(1962)
【28】[シリーズ]事件記者(1959〜1962)
【27】地図のない町(1960)
【26】黒い画集 あるサラリーマンの証言(1960)
【25】吹けよ春風(1953)
【24】彼奴を逃がすな(きゃつをにがすな 1956)
【23】我が家は楽し(1951)
【22】花ひらく娘たち(1969)
【21】麦秋(1951)
【20】浮草(1959)
【19】鉄砲玉の美学(1973)
【18】最後の切札(1960)
【17】黄色いさくらんぼ(1960)
【16】空の大怪獣 ラドン(1956)
【15】涙を、獅子のたて髪に(1962)
【14】特急にっぽん(1961)
【13】時をかける少女(1983)
【12】幸福の黄色いハンカチ(1977)
【11】お国と五平(1952東宝)
【10】可愛いめんどりが歌った(1961)/夢でありたい(1962)
【09】充たされた生活(1962)
【08】人間蒸発(1967)
【07】若い樹(1956)
【06】こだまは呼んでいる(1959)
【05】抱かれた花嫁(1957)
【04】新・事件記者 殺意の丘(1966)
【03】空かける花嫁(1959)
【02】現代っ子(1963)
【01】七人の刑事 終着駅の女(1965)


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