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【52】はだしの花嫁(1962松竹大船)監督;番匠義彰  →【53】 →【51】

  ▼キャスト▼ ▼舞台▼ ▼発端とあらすじ▼

 建設技師の寺島達夫を巡る鰐淵晴子倍賞千恵子の三角関係。
 それにふりまわされる、鰐淵の父と倍賞の養父である佐野周二三井弘次
 83分に、複雑多彩な人間関係と、風光明媚な瀬戸内の景色を盛込み大団円。

三井「さっぱりわからんな!」
 余談ながら、南原宏治は剣玉が得意。


 瀬戸内海、来島海峡横断の送電線敷設工事に携わる「電源開発」の技師ヤシロ・
寺島達夫をめぐって、雑誌編集者レイコ・鰐淵晴子と、鰐淵の父の戦友の娘ヨウコ
・倍賞千恵子が恋の火花を散らす。
 その鰐淵に熱をあげるサワムラ・山本豊三、倍賞と縁談の進むクラモト・早川保
がからむ、恋愛ロードムービー。
 シニアのカップルは、鰐淵の父・佐野周二と、神戸のマダム・月丘夢路。
 東京と尾道、松山、それに神戸と別府をまたにかけてつづられる物語。中をとり
もつポンポン蒸気と関西汽船。風光明媚な瀬戸内の景色と、松竹名物・佐野周二の
困り顔が楽しい旅映画。
 本作の老舗の舞台設定は上野。天ぷら屋「天八」。寺島の実家で女将が高橋とよ。

 コメディ部門の担当は、佐野周二と三井弘次。狂言まわしに南原宏治。
 番匠花嫁の人気者、大泉滉、今回は、月丘の店で働く環三千世と恋人役で御機嫌
を伺う。

  ▼キャスト▼ ▼舞台▼ ▼発端とあらすじ▼

 オープニング、おなじみ、雲上の富士山に「松竹映画」。続いて「高浜─尾道」
と書かれた船が映る。
「出航!」と三井弘次が叫ぶ。けたたましい汽笛に耳を押さえる倍賞千恵子。テー
マ曲が流れ、瀬戸内の風景をバックにタイトルが出る。船上では、早川保のハーモ
ニカに合わせて、倍賞が歌っている。
 石崎汽船が四国と山陽を結び、明治から続いた由緒ある高浜(松山)・尾道航路
も、しまなみ海道の開通で、今はない。

 一方、まだ緑と白のツートンカラーだった頃の関西汽船の「くれない丸」。関西
から松山(高浜港)経由の別府航路に就航した豪華客船。「週刊レデイ」編集部の
鰐淵が、作家ヤマソウ先生・南原宏治の取材旅行に同行して乗船。ここで、当時の
花形職業、技師の寺島と再会する。
 旅情を誘う、「関西汽船」の名前は、合併されてなくなってしまった。
 くれない丸は、同航路がフェリー化されて退役の後、2022年現在も、横浜港の
レストランクルーズ「ロイヤルウイング」として現役である。

 寺島が完成を目指すのは、瀬戸内海を横断する高圧線、220kvの「中四幹線」。
 大久野島山頂にそびえる226メートルという、日本で最も高い送電線鉄塔からは、
本州側へ、日本最長の径間長2,357メートルで送電線が海を渡る。幹線としての
役目は終えたが、今でも島へ電気を送っているという。
[出典]http://overhead-tml.net/historicalline.html#chusi
    閉鎖・移転→https://www.k-tls.co.jp/overhead-tml/historicalline.html
 登場する鉄塔がこれだと思っていたが、実際敷設工事の場面は別の場所で、今治
側の波止浜であった。


 ◆キャスト◆
  ▼舞台▼ ▼発端とあらすじ▼ ▲▲ページ冒頭▲▲

鰐淵晴子……週刊レデイ編集者・レイコ
寺島達夫……「電源開発」技師・ヤシロ
倍賞千恵子…【松山】伊予絣(いよがすり)店員・カズコ
山本豊三……鰐淵の同僚、週刊レデイ編集部・サワムラ  鰐淵に片思い
早川保………【尾道】地元新聞記者・クラモト  倍賞の許嫁者
佐野周二……鰐淵の父、都内の酒問屋主人・矢野  男ヤモメ
月丘夢路……【神戸】バーのマダム・加代  佐野に猛アタック
三井弘次……【松山】倍賞の養父、佐野の戦友、高浜尾道航路の船長・中島
南原宏治……流行作家・山根爽太郎 「海を渡る花嫁」の取材旅行に鰐淵が同行
高橋とよ……【東京上野】寺島の母、天ぷら天八の女将

環三千世……【神戸】月丘の店の女給・エミ
大泉滉………【神戸】環の彼氏、別府航路くれない丸のボーイ・小泉
桜むつ子……【松山】三井の妻、倍賞の養母
須賀不二男…週刊レデイ編集長
世志凡太……【東京上野】天八の職人

小瀬朗………三井の部下、高浜尾道航路船員 ※「のれんと花嫁」のコーラスメンバー
林洋介………【別府】旅館「赤銅御殿」の番頭 ※「のれんと花嫁」のコーラスメンバー
青山宏………佐野の店の番頭  プレスシートでの役名は池田松吉
佐藤芳秀……【松山】道後温泉「道後ホテル」の番頭
大橋八千代…【松山】道後温泉「道後ホテル」の女中

 ※須賀不二「男」は、クレジット表記による。


●「酒問屋 矢野商店」
 都内某所。
 店の前を都電15番線(高田馬場〜早稲田〜大曲〜小川町〜日本橋〜茅場町…洲崎)
が通る。
 鰐淵の家。父の佐野が社長。後半で、佐野を頼って倍賞が下宿する。

●上野・天ぷら「天八」
 技師・寺島の実家。
 具体的には、矢野商店の店員が「上野の」と言う以外、場所は明かされない。
 寺島の母が女将の高橋とよ。職人役に、今回は世志凡太が、桂小金治の役どころ
を勤める。二人とも、あまり目立った活躍はない。

●「週刊レデイ」編集部
 都内某所。
 鰐淵、豊三の会社。編集長は須賀不二男。

●神戸「BAR加代」
 三宮・トアロード。佐野の行きつけの店。
 マダムが月丘夢路。ホステスに環三千世。作家・南原宏治も常連客。

●松山・高浜 伊予絣製造販売「中島商店」
 倍賞の家。三井の妻・桜が切盛りする。三井の船の着く港のすぐそば。

●尾道
「中國新聞」記者の早川が暮らす。スクーターで、早川が三井の船に伝言にくるの
は尾道港のはずだが、このシーンを含めて、尾道らしい景色があまり出て来ないの
でわかりにくい。

●尾道・海峡を見下ろす丘の上
 早川が、海産物問屋に紹介してもらったという「海の見える離れ」。向島の造船
や尾道市街を遠望。
でわかりにくい。

●松山・道後温泉「ホテル道後」
 道後温泉本館のまん前。月丘が佐野を待ちぼうけ。後に、南原と鰐淵も宿泊。

●松山・酒蔵「クメノヰ」(柴田商店)
 佐野が商談をまとめる。外観のみ。ちなみに、佐野が三井と旧交を深めて酌み交
わす酒も「久米の井」。

●松山城
 佐野と月丘がデート、早川とやって来た倍賞が目撃。

●別府温泉「ホテル赤銅御殿」
「花子とアン」にも登場した柳原白蓮、その別邸ゆかりの高級旅館。南原の宿泊に
用意され、入口から玄関だけだが映る。

●大分・高崎山
 南原と鰐淵が取材に訪れ、追って来た豊三も猿とたわむれる。

●別府・遊園地ラクテンチ
 施設名の明示はないが、本作公開の1962年に開業した珍しい屈曲リフトが登場。
スイッチバックのように、180度折返して高さをかせぐ。
 この折返しがあだとなり、豊三の尾行が鰐淵にバレる。 ※リフトは現存せず。

●“西日光”耕三寺(尾道市・生口島)
 佐野と月丘のデートを、南原と取材中の鰐淵が遭遇。

●送電線敷設工事現場(今治市・波止浜)
 作業の寺島を取材の早川に倍賞が同伴。取材に南原と鰐淵がやって来て鉢合せ。
 送電線にブイ(風船)を付けて、船で引張り、海峡を横断させる様子が記録フィ
ルムで挿入されている。
 鰐淵と寺島が初めて出会ったのは、前年完成の御母衣(みほろ)ダム(岐阜県)。
続いて寺島は、鹿児島県の川内川(せんだいがわ)のダム工事に赴くことになる。


  
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【発端とあらすじ】
  婦人週刊誌の編集者・鰐淵晴子は、流行作家・南原宏治の瀬戸内への取材旅行に同行し、豪華客船
 「くれない丸」(神戸〜松山・高浜港〜別府)に乗込む。
  たまたまそこで、商用で松山に向かう鰐淵の父・佐野周二と一緒になる。運悪く、男ヤモメの佐野を
 追って、神戸のバーのマダム・月丘夢路が強引に付いてきてしまい、佐野はバツが悪いので、二人の関
 係をごまかそうとする。
  船上で鰐淵は、以前取材した「電源開発」の技師・寺島と、偶然再会し、恋してしまう。
  さて、松山(高浜港)で佐野を出迎えたのは、戦友で瀬戸内海連絡航路の船長・三井弘次と、その娘
 ・倍賞千恵子。
  倍賞は、佐野と三井の海軍時代の戦友の忘れ形見で、三井が引き取って育てている。二人の倍賞への
 思いにはなみなみならぬものがあるのだ。
  鰐淵は、送電線敷設現場に向かうため同じく松山で下船した寺島が、倍賞と親しげにしていたのを気
 にしつつ、南原と別府へ。そこには、豊三が先回りして張り込んでいた。鰐淵に片思いの豊三は、女た
 らしの南原と二人きりなのを心配して飛行機で飛んできたのだ。
  一方、倍賞には、三井が薦めた、尾道の新聞記者・早川保との間で縁談が進んでいる。しかし、倍賞
 は、同時に抱いている寺島への思いを絶ちきれず、帰京した寺島を追って東京へ。
  取材旅行を終えて帰宅した鰐淵は、倍賞が佐野を頼って下宿することになった上、寺島の実家の天ぷ
 ら屋で働く姿を見て驚く。
  東京に舞台を移して、恋の火花を散らす鰐淵と倍賞であった。

【結末】
  東京へ行った倍賞の様子を見に、早川がやってくる。倍賞の幸せのためならと、潔く身を引こうとす
 る早川に、「自分の本当に好きなのは早川だ」と悟る倍賞。
  折しも、寺島は、鰐淵を慕いながらも、互いの思いを確かめることなく、九州の山間部の現場へ赴任す
 ることになった。それを知った倍賞は二人の仲を取り持ち、自らも皆に祝福されながら、瀬戸内海を渡っ
 て、早川のもとに嫁ぐのだった。

【おまけ】
 松山土産は「薄墨ようかん」。
 出張前の鰐淵の買い物包みの山。包装紙は三越、大丸、松坂屋。
 ラクテンチのリフト、乗り場に大道具の張り物(パネル)らしき物を運ぶのが映り込む。
 「天八」の客、座敷にカメオで、音楽の牧野由多可らしき顔。
 伊予鉄道の駅ホームで憩う鰐淵、寺島、倍賞というスチール写真があるも、該当シーンなし。

  
▲▲ページ冒頭▲▲ ▲キャスト▲

【101】〜
【100】君も出世ができる(1964)
【99】父子草(1967)
【98】地方記者(1962)
【97】花のお江戸の法界坊(1965)
【96】童貞先生行状記(1957)
【95】駅 STATION(1981)
【94】大いなる驀進(1960)
【93】三十六人の乗客(1957)
【92】高度7000米 恐怖の四時間(1959)
【91】キングコング対ゴジラ(1962)
【90】かも(1965)
【89】警視庁物語 ウラ付け捜査(1963)
【88】拳銃0号(1959)
【87】希望の乙女(1958)
【86】旅情(1959)
【85】人間に賭けるな(1964)
【84】日本暴力列島 京阪神殺しの軍団(1975)
【83】東京湾(1962)
【82】野獣狩り(1973)
【81】ひとりぼっちの二人だが(1962)
【80】ギャング同盟(1963)
【79】明日は月給日(1952)
【78】もぐら横丁(1953)
【77】好人物の夫婦(1956)
【76】愛情の都(1958)
【75】警視庁物語 行方不明(1964)
【74】喜劇 男の泣きどころ(1973)
【73】橋(1959)
【72】東京の恋人(1952)
【71】特急三百哩(1928)
【70】アリバイ(1963)
【69】私は負けない(1966)
【68】月曜日のユカ(1964)
【67】おんなの細道 濡れた海峡(1980)
【66】続・酔いどれ博士(1966)
【65】ダニ(1965)
【64】硝子のジョニー 野獣のように見えて(1962日活)
【63】誘惑(1957)
【62】集金旅行(1957)
【61】ゴジラ(1954)
【60】閉店時間(1962)
【59】山鳩(1957)
【58】次郎長社長と石松社員(1961)
【57】サザエさんの青春(1957)
【56】背後の人(1965)
【55】重役の椅子(1958)
【54】川のある下町の話(1955)
【53】泣いて笑った花嫁(1962)
【52】はだしの花嫁(1962)
【51】のれんと花嫁(1961)
【50】ふりむいた花嫁(1961)
【49】わたしの凡てを(1954)
【48】愛人(1953)
【47】花嫁のおのろけ(1957)
【46】恋人(1951)
【45】33号車応答なし(1955)
【44】真田風雲録(1963)
【43】嵐を呼ぶ楽団(1960)
【42】サラリーマン目白三平 うちの女房(1957)
【41】人形佐七捕物帖 めくら狼(1955)
【40】流れる(1956)
【39】結婚のすべて(1958)
【38】踊りたい夜(1963)
【37】風流温泉日記(1958)
【36】喧嘩鴛鴦(1956)
【35】早射ち野郎(1961)
【34】香華(こうげ 1964)
【33】その壁を砕け(1959)
【32】おかあさん(1952)
【31】愛染かつら 総集篇(1938・39)
【30】赤い鷹(1965)
【29】人間狩り(1962)
【28】[シリーズ]事件記者(1959〜1962)
【27】地図のない町(1960)
【26】黒い画集 あるサラリーマンの証言(1960)
【25】吹けよ春風(1953)
【24】彼奴を逃すな(きゃつをにがすな 1956)
【23】我が家は楽し(1951)
【22】花ひらく娘たち(1969)
【21】麦秋(1951)
【20】浮草(1959)
【19】鉄砲玉の美学(1973)
【18】最後の切札(1960)
【17】黄色いさくらんぼ(1960)
【16】空の大怪獣 ラドン(1956)
【15】涙を、獅子のたて髪に(1962)
【14】特急にっぽん(1961)
【13】時をかける少女(1983)
【12】幸福の黄色いハンカチ(1977)
【11】お国と五平(1952東宝)
【10】可愛いめんどりが歌った(1961)/夢でありたい(1962)
【09】充たされた生活(1962)
【08】人間蒸発(1967)
【07】若い樹(1956)
【06】こだまは呼んでいる(1959)
【05】抱かれた花嫁(1957)
【04】新・事件記者 殺意の丘(1966)
【03】空かける花嫁(1959)
【02】現代っ子(1963)
【01】七人の刑事 終着駅の女(1965)


  
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