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【79】明日は月給日(1952松竹大船)監督;川島雄三  →【80】 →【78】

 ▼キャスト▼

♪あす〜は楽しい月給日
 むやみに楽しいテーマソングで始まる、からっとした人情コメディ。
 主人公は大家族の長、日守新一。主軸のカップルが、高橋貞二紙京子
 そこにタテからヨコから、様々なエピソードが絡み合う。恋愛あり、日守の引責
辞任のピンチあり、ほろりとするシーンあり。
 日守新一と英百合子夫婦の大家族。スエコ・東谷暎子の下に、トメオ。さらに、
その下にできた子供はノゾミと名付けられている。らしさ発揮の渡辺篤をはじめ見
所満載。

 主題歌を歌う鶴田六郎久保幸江コンビ。鶴田は経済観念に長けた学生、日守の
三男役。歌手とは思えぬ器用な演技。
 鉄道マニア的には、改装前の東急の緑ヶ丘駅(現・緑が丘駅)。日守一家の最寄
り駅として、色々な角度で登場。ツートンカラーの大井町線が進入する高架ホーム
のシーンもある。

 そして貴重な演芸資料としては、先代「おばあさんの」古今亭今輔桂小金治
落語家の師弟役での出演がある。
 今輔が小金治に、家で稽古をつけるシーン。そして、極めつけは寄席のシーン。
 高橋貞二が、紙京子を連れて、寄席にやってくる。客席は畳敷き。高座では、音
曲漫才の都上英二東喜美江から桂小金治へリレー。転換シーンに楽屋がはさまっ
て、袖で三味線をひく下座さん。小金治が英二に、
「キンちゃんはどうです?」「いいお客だよ。」
なんという、映画を観ている観客にはわからない符牒の会話。
 川島監督と組んで、まだ2本目の映画出演の小金治。話の本編にははいらないが、
古典のマクラがたっぷり聞ける。そのまま映画界に連れ去られるには惜しい、幻の
名人の達者な落語。「羽織の大将」の時より、数段いい姿である。
 その寄席「新橋烏笑亭」(烏森付近の設定だろう)で、貞二と紙を案内するお茶
子に谷よしの。給料の遅配に、会計課長・日守をなじる社員に大杉莞児(侃二郎)。

 【キャスト】  ▲ページ冒頭▲

日守新一………石原(イシハラ)鉄太郎/「日本一商事」会計課長
英百合子………妻ユキノ  ※長男は物故(おそらく戦死)
望月優子………長女ナツヨ/雑誌編集長  日守らと同じ敷地の離れに住む
渡辺篤…………長女の夫フルガキ/「東京銀行」勤務  離れに住む
高橋貞二………次男エイジ/「日本一商事」勤務  石原家の跡取り
鶴田六郎………三男ケイゾウ/大学生  経済観念に長け、兄の貞二にも金を貸す
東谷暎子………三女スエコ/高校生  高島屋で実習中  ※「(新人)」
      ※この下にも中学生の、トメオ、ノゾミ、孫の小学生タロウが同居

幾野道子………亡き長男の嫁ユミ/小料理屋「若竹」女将  タロウという男児あり
井川邦子………次女リュウコ  嫁いで大阪に住む、新婚6ヶ月だが家出、上京
大坂志郎………次女の夫シミズ  家出した妻・井川を追って上京

紙京子…………次男・貞二の彼女ハルコ/高島屋の地下「特別食堂」ウェイトレス
須賀不二夫……亡き長男の同僚タナカ/「毎朝新聞」経済部デスク(次長) 幾野に求婚
久保幸江………三男・鶴田の彼女  テーマソングを鶴田と2人でデュエット

古今亭今輔[先代/五代目]…落語家「今昔亭なん馬(なんば)」  紙京子の父
桂小金治………「なん馬」の弟子「今昔亭とん馬(とんま)」  紙京子に片思い
北竜二…………日守の上司「日本一商事」タイラ専務  手付金遣繰りに給料遅配を指示

竹田法一………「日本一商事」副社長
草香田鶴子……紙京子、今輔、小金治の家の向いの薬局
青木富夫………「日本一商事」社員、若竹の常連客
小藤田正一………「日本一商事」社員、若竹の常連客、丸メガネ
長尾敏之助……「日本一商事」課長、貞二の上司
手代木国男……「日本一商事」日守の部下ミネギシ、銀行に同行
井上正彦………「日本一商事」日守の部下ハヤシ、銀行に同行
都上英二………漫才師(本人役)  音曲漫才「英二/喜美江」ギターとハモニカ
東喜美江………漫才師(本人役)  三味線  ※ともに「(特別出演)」で高座

谷よしの………銀行の客/寄席のお茶子(貞二と紙を案内)  ※ノンクレジット
大杉陽一(莞二/侃二郎)…「日本一商事」社員  給料遅配に嘆く  ※ノンクレジット
永井達郎………「日本一商事」社員  ※ノンクレジット
高木信夫………「毎朝新聞」電話室の社員  ※ノンクレジット


「日本一商事」……都電1系統が走る都心の目抜き通りにビルを構える。1階のテ
  ナントが、日守の娘婿・渡辺篤の勤める「東京銀行」、外為銀行になる前。当
  時の東京銀行は、銀座通りだけでも、7丁目ほか、複数店舗あった模様。
  ちなみに、ライバル社として名前の上がるのが「ナンカイサンギョウ」。南海
  産業といえば、同年公開の「三等重役」(東宝/監督;春原政久)の河村黎吉
  の会社、という御愛嬌。
日本橋高島屋……紙京子が勤める。日守の三女・東谷暎子が実習に来て、初めて給
  料をもらう。店内・屋上ロケあり。屋上では象の高子が曲芸をしている。
小料理屋「若竹」……新橋烏森の小さな呑み屋。未亡人・幾野が切盛り。日守の一
  家の御用達。息子を日守の家に預けて、二階で幾野が独居。
コーヒーとカレーの店「ミステーク」……若竹の隣の食堂。久保の店。
烏森神社………貞二と紙の待合せ場所。新橋駅の西側。神社の南手の参道が、幾野
  の店のある「からす森飲食街」。実景ロケあり。
寄席「新橋烏笑亭」……おそらく幾野の店の近くの設定。畳敷き。
  ※川島監督は四谷の寄席「喜よし」の常連で、小金治を映画界に誘ったという。
緑ヶ丘駅………日守一家の最寄駅、東急大井町線。「驛丘ヶ緑」と右書きの駅頭の
  他、ホームで電車を待つシーンも。ツートンカラーの電車が進入してくる。現
  在は緑「が」丘駅。

 発端は月末の給料日を翌日に控えた木曜日。日月の「二日続きのお休み」を控え
た秋のこと。エンディングは日曜日の朝。
 これを1952年のカレンダーに当てはめると、10月30日から11月2日の出来事。
日守一家の家の庭には柿の実が生っている。
 エピローグでは、一家親族、これから結婚するもの含めて勢ぞろい。全員集合で
記念写真。みんなが帰った後、日守と英、
「もう少しぼんやりしていようじゃないか。」
 ちらほらと小雪が舞う庭を望む座敷に老夫婦、静かに感慨にふけるのであった。

  ▲ページ冒頭▲

【101】〜
【100】君も出世ができる(1964)
【99】父子草(1967)
【98】地方記者(1962)
【97】花のお江戸の法界坊(1965)
【96】童貞先生行状記(1957)
【95】駅 STATION(1981)
【94】大いなる驀進(1960)
【93】三十六人の乗客(1957)
【92】高度7000米 恐怖の四時間(1959)
【91】キングコング対ゴジラ(1962)
【90】かも(1965)
【89】警視庁物語 ウラ付け捜査(1963)
【88】拳銃0号(1959)
【87】希望の乙女(1958)
【86】旅情(1959)
【85】人間に賭けるな(1964)
【84】日本暴力列島 京阪神殺しの軍団(1975)
【83】東京湾(1962)
【82】野獣狩り(1973)
【81】ひとりぼっちの二人だが(1962)
【80】ギャング同盟(1963)
【79】明日は月給日(1952)
【78】もぐら横丁(1953)
【77】好人物の夫婦(1956)
【76】愛情の都(1958)
【75】警視庁物語 行方不明(1964)
【74】喜劇 男の泣きどころ(1973)
【73】橋(1959)
【72】東京の恋人(1952)
【71】特急三百哩(1928)
【70】アリバイ(1963)
【69】私は負けない(1966)
【68】月曜日のユカ(1964)
【67】おんなの細道 濡れた海峡(1980)
【66】続・酔いどれ博士(1966)
【65】ダニ(1965)
【64】硝子のジョニー 野獣のように見えて(1962日活)
【63】誘惑(1957)
【62】集金旅行(1957)
【61】ゴジラ(1954)
【60】閉店時間(1962)
【59】山鳩(1957)
【58】次郎長社長と石松社員(1961)
【57】サザエさんの青春(1957)
【56】背後の人(1965)
【55】重役の椅子(1958)
【54】川のある下町の話(1955)
【53】泣いて笑った花嫁(1962)
【52】はだしの花嫁(1962)
【51】のれんと花嫁(1961)
【50】ふりむいた花嫁(1961)
【49】わたしの凡てを(1954)
【48】愛人(1953)
【47】花嫁のおのろけ(1957)
【46】恋人(1951)
【45】33号車応答なし(1955)
【44】真田風雲録(1963)
【43】嵐を呼ぶ楽団(1960)
【42】サラリーマン目白三平 うちの女房(1957)
【41】人形佐七捕物帖 めくら狼(1955)
【40】流れる(1956)
【39】結婚のすべて(1958)
【38】踊りたい夜(1963)
【37】風流温泉日記(1958)
【36】喧嘩鴛鴦(1956)
【35】早射ち野郎(1961)
【34】香華(こうげ 1964)
【33】その壁を砕け(1959)
【32】おかあさん(1952)
【31】愛染かつら 総集篇(1938・39)
【30】赤い鷹(1965)
【29】人間狩り(1962)
【28】[シリーズ]事件記者(1959〜1962)
【27】地図のない町(1960)
【26】黒い画集 あるサラリーマンの証言(1960)
【25】吹けよ春風(1953)
【24】彼奴を逃がすな(きゃつをにがすな 1956)
【23】我が家は楽し(1951)
【22】花ひらく娘たち(1969)
【21】麦秋(1951)
【20】浮草(1959)
【19】鉄砲玉の美学(1973)
【18】最後の切札(1960)
【17】黄色いさくらんぼ(1960)
【16】空の大怪獣 ラドン(1956)
【15】涙を、獅子のたて髪に(1962)
【14】特急にっぽん(1961)
【13】時をかける少女(1983)
【12】幸福の黄色いハンカチ(1977)
【11】お国と五平(1952東宝)
【10】可愛いめんどりが歌った(1961)/夢でありたい(1962)
【09】充たされた生活(1962)
【08】人間蒸発(1967)
【07】若い樹(1956)
【06】こだまは呼んでいる(1959)
【05】抱かれた花嫁(1957)
【04】新・事件記者 殺意の丘(1966)
【03】空かける花嫁(1959)
【02】現代っ子(1963)
【01】七人の刑事 終着駅の女(1965)



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