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【174】警視庁物語 108号車(1959東映東京)監督;村山新治・若林榮二郎  →
【174】概要
 →【175】 →【173】

 →【114】警視庁物語 顔のない女(1959)
  【174】警視庁物語 108号車(1959)
 →【120】警視庁物語 遺留品なし(1959)
 →【103】警視庁物語 深夜便130列車(1960)
 →【121】警視庁物語 血液型の秘密(1960)
 →【122】警視庁物語 聞き込み(1960)
 →【136】警視庁物語 十五才の女(1961)
 →【136】警視庁物語 12人の刑事(1961)
 →【89】警視庁物語 ウラ付け捜査(1963)
 →【123】警視庁物語 全国縦断捜査(1963)
 →【75】警視庁物語 行方不明(1964)

 東映東京撮影所の人気シリーズ、長谷川公之原作「警視庁物語」第10作。
 未明の麻布三河台町。パトロールカーの巡査・相馬剛三、不振な小型トラックに
職務質問をしたところ、拳銃で撃たれて重症、後に死亡する。
 警視庁捜査一課の主任警部・神田隆と、6名の刑事たち。
 堀雄二、花沢徳衛、須藤健、山本麟一、南廣、佐原廣二。
 麻布署に置かれた「警察官殉職事件特別捜査本部」。捜査の途上、王子署、府中
の運転免許試験場、本庁交通一課も登場するが、桜田門のデカ部屋のシーンは無し。
そして、殉職警官らの眠る「弥生廟」。

 毎回、楽しみな凝ったオープニングタイトル。今回は、早朝に招集を受けて集め
られる刑事たちの様子。主任警部・神田隆の家にもまだ電話はないらしく、連絡を
受けた近所の交番の巡査が家の戸を叩く。
 作品中、犯人の捜査と平行して、殉職警官を巡るエピソードが描かれるところが
珍しい。

 捕物は2日目の夜7時、有楽ビル地下駐車場。
 ゲストスター、東野英治郎、売り出し新人曽根晴美。ヒロイン不在で、地道な台
帳の検索など、地味ながら佳くまとまった短編54分。
 キーとなる逃走車両、「4 す 1946」。トヨタSG型トラック1953年式
 事件発生、捜査初日から2日目夜までの物語、と翌朝のエピローグ。

 【キャスト】
松本克平………警視庁捜査一課長
神田隆…………(捜査一課x号室)主任警部。温厚なボス。表札が映るが読めない。
堀雄二…………部長刑事ナガタ。神田の机上メモには「長田」。声が裏返る。
花沢徳衞………ベテラン刑事ハヤシ。同、「林」。新聞を広げたまま眠る。
須藤健…………刑事ワタナベ。同、「渡辺」。ハンチング。
山本麟一………刑事カネコ。同、「金子」。ソフト帽のダンディ。
佐原廣二………刑事タカツ。同、「高津」。逃走車の交通違反を台帳から発見。
南廣……………刑事ヤマムラ。同、「山村」。犯人逮捕。

関山耕司………パトカー巡査部長キンバラ。108号乗務中に事件発生
相馬剛三………パトカー巡査「石川」。不審車両に職質し撃たれ殉職
滝謙太郎………府中試験場の事務官、二ッ星の巡査部長。
岡野耕作………王子署の刑事

東野英治郎……フジイガレージ社長 赤坂溜池の修理工場の社長、非常に実直。
清水一郎………カメラの故買屋カナヤマゴロウ
曽根晴美………共犯者「久我恵太」
高田博…………主犯「木谷三造(キタニサンゾウ)」
石島房太郎……サガミ電機社長。秋葉原の「富士電機」問屋 逃走車両の前所有者

杉義一…………「堀和彦」中古車屋の店員。犯人の偽名の同姓同名の人物の同僚
浜田寅彦………容疑者の住居の隣人、テレビ作家 江東区北砂町9丁目(現・東砂3丁目)
岡部正純………千住自動車教習所の係員
清村耕次………新聞記者「課長、たのみますよ。」
梅津榮…………新聞記者、メガネ「ナンバー取れてるんだって?」
大木史朗………新聞記者、帽子「これ本部事件になっちゃうんすか?」

●犯行現場 
地図
 港区麻布「三河台町27番地」……警官射殺現場(第二現場)、現・六本木4-3。
   ※設定とロケ場所同一。
 現・六本木4-4……不審車両発見現場(第一現場)。
   ※道路の向いは現在の東京ミッドタウン。
●サガミ電機 石島房太郎
 [秋葉原]現・千代田区外神田3丁目、中央通りの西側
●フジイガレージ 東野英治郎
 [赤坂見附]現・港区赤坂3-4、日枝神社下
●運転免許試験場 滝謙太郎
 [府中]
●警視庁交通第一課分室
 検察庁墨田庁舎内
●警視庁交通総務部管理係
 [桜田門]本庁舎内
●「木谷三造」の家 隣家に浜田寅彦
 交通違反の調書、神田隆の机上メモによれば「江東区北砂町9-752」現・東砂3丁目?
   ※都営住宅のようだが、詳細不明
●千住自動車教習所 岡部正純
 [堀切]足立区千住曙町(当時、実在)
●日産中古車センター 杉義一
 [西麻布・霞町?]バックの建物に「ハリウッド」(美容高等学校)の文字
   ※ずらりと並ぶ日産オースチンA50ケンブリッジ。初代ブルーバードは発売前。
●「有楽ビル」
 [日比谷]現・千代田区有楽町1-8、当時の日活国際会館ロケ。
   ※後に日比谷パークビルヂング。建て替えてホテル、ザ・ペニンシュラ東京。
●彌生廟
 北の丸公園内 現在は「弥生慰霊堂」





  ▲ページ冒頭 ▲キャスト

 【プロローグ】
 まだ暗い早朝の六本木通。閑散とした電車通りを、ヘッドライトを照らして進む
1台のパトロールカー。トヨタBH/FH26。溜池方向から谷町を過ぎて、六本木の
手前の今井町(現「なだれ坂」交叉点)を右に折れる。
※目を凝らすと、腕木式の方向指示器「アポロ」が光って立上がっている。
※参考→「ノスタルジック・パトロールカー」別館
 108号車の乗務員はキンバラ巡査部長・関山耕司と、イシカワ巡査・相馬剛三
 すぐ突き当り、右に交番のある丁字路を左折。また右折して、長い塀は米国大使
館宿舎。
 助手席の相馬が眠そうに目をこすっているところに46号車からの無線を傍受。
米大使館宿舎脇あたり。
 日東通信機大崎第二工場からの窃盗の通報の続報。被害はトランジスターラジオ
約20ダース。犯行推定時間は2時から4時の間。
相馬「30分以上もたってるんじゃ、もうホシは遠くへ逃げてますね――」
というから、早暁4時半ごろの事である。
 三河台中学校(現・麻布署新庁舎)の下の坂を下って、米軍ハーディーバラック
ス(翌年返還されて防衛庁、現在はミッドタウン)に突き当たるとハンドルを右に。
 その時、左側の路地(出口は外苑東通り)に不審な小型トラックが駐車している
のを現認する。バックして、不審車の方へ角を曲がる。
 相馬が職務質問しようとすると慌てて逃走する小型トラック。二人乗っているう
ちの、助手席の曽根晴美がうっすらっと映る。窓に躰を突っ込むように食らいつい
てゆく相馬。関山がパトカーをUターンさせて追おうとした時、銃声を聞く。
 横たわる相馬の胸に出血。脈をとる関山。急いで運転席に戻ると無線連絡。
「至急、至急!警視ヒャクハチより警視庁――」
関山が事件を報せて、手がかりを続ける。
「ナンバーは4ハイホン、スズメの『す』、イチキュウヨンロク。」
これから病院に向かう、と叫んだところでタイトル。警視庁の指令台が映る。

【タイトル/スタッフ/キャスト】
 キャスト1枚目 堀雄二/南廣
 キャスト2枚目 東野英治郎/松本克平/花沢徳衛/神田隆
 ※バックに、今回は刑事たちの招集の様子が描かれて、楽しい
 電話を受ける交番の巡査。自転車を飛ばして神田隆の家へ。
 玄関の引き戸が開いて、寝間着姿の神田がで対応している。
 ……(帯の上に腹巻をして上野の西郷さんかバカボンみたい)
 青葉寮、窓を開け下を見る南廣。
 堀、浴衣姿、玄関にひとり。
 徳衛、縁側で子供の相手をしていた。
 山麟、寝相悪く寝てるところを家人に起こされる。
 須藤、妻と雨戸をあけた状態で庭先の警官に対応、股引の上にズボンを履く。
 ネクタイを締めながら、下宿の玄関を眠そうに出てくる佐原廣二に
 「監督 村山新治 若林榮二郎」連名。
 ★キャストに女性名皆無(21.12.9確認)

現場検証。坂の上、規制線で押問答している記者たち。
坂下の第二現場で薬莢を拾っている山麟。
鑑識がタイヤ跡に石膏を流し込んでいる。
一課長・松本克平が、関山に事件の様子を聞いている。
 撃たれた相馬は、病院に着いた時には息を引き取っていたという。
 逃走した小型トラックの型はわからないが、見ればわかるだろう。
 社名などは書かれていなかった。幌付き、ボデーはグレー。
とにかく病院へ行こう、と課長・松本と堀が向かう。
そこへ、なだれ打って記者たちが、松本たちを取り囲む。
清村耕次「課長、たのみますよ。」
梅津栄 「ナンバー取れてるんだって?」
大木史朗「これ本部事件になっちゃうんすか?」
振り切って松本たちが歩いてゆくと、そこへ自転車の警官が伝令に駈けつける、ナ
ンバーから逃走車両の所有者が割れたという。
関山もメモをしている。
早速、その住所に、徳衛と南が派遣される。
※プレスシートに「鑑識課員 北峰有二」、クレジット有、おそらくタイヤ痕に石
膏を流し込んでいる男だが、ほとんど顔が判別不能。

●サガミ電機商会 秋葉原 徳衛・南 石島房太郎
中央通り沿い、現・ドン・キホーテの向かいあたりか。
南に総武線ガード、その手前の東側に今(2021年)も営業する「坂口電熱」。
カメラは中央通りの北側から国電ガード方面の広いショット、右にパンして、店の
構えを見せてその脇の路地に止められた小型トラックを映す。徳衛がトラックとナ
ンバーをチェックしているが、該当車両は無し。
南、店に入った徳衛に「今、御主人を呼んでもらってます。」
社長・石島房太郎がジャンバーを羽織りながら店に現れる。
件のナンバーを尋ねられて困惑していると店員が助け舟。
「それなら先月売ったヤツですよ。」「ああ、53年型の。」
 先月売ったが、売った先はわからない。
 いつも修理を頼む「フジイガレージ」に仲介してもらったという。
※「富士電機」の家電製品がひしめく。冷蔵庫や扇風機など。
※主人・石島の証言を補足する店員、プレスシートによれば、日置三郎(クレジッ
 トなし)。

●フジイガレージ(修理工場) 徳衛・南 東野英治郎
まず画面に日枝神社大鳥居、左に建設中の「HOTEL NEW JAPAN」、
カメラが左にパンして道路の向い側の「フジイガレージ」が映る。
現・赤坂3-4。
場内で修理の様子を面白そうに見ている南を、徳衛が事務所へ呼込む。
社長・東野英治郎が聞込みに答える。
 先月の5日に売却した。
 新聞に広告を出したらすぐに即金で買いに来た。
 30歳くらい、一人で。
名刺ファイルから「堀和彦」という名刺を出す。
東野「どうも、偽電話らしいんです。」
名義変更がすんでいないのでサガミ電機に税金の通知が行ってしまい、問合せ
て見たら、2年ほど前から銀行が持っている番号だった。
徳衛「すると、住所も調べてみたんでしょうね。」
東野「ええ(短い)、住所も偽でした。」
徳衛「ひとりで来たということは、免許は持っているんだな。」
一緒に府中の試験場へ行くよう東野に頼むと二つ返事。
東野英治郎「すぐですな?」
南が、当該車のカタログがないか問うと、東野がファイルから取出す。
「えーとあれは、トヨダのSG53年だから……。」
 ※非常に実直な東野の対応、南のクイ気味の質問

●本部 神田、堀(出)、須藤、佐原、南(出)
カタログのアップ。
神田、それを見ながらそばをすすっている。洋食器皿にそばが盛られている。
模造紙に書かれた事件現場の地図を張り出す佐原。
南が、名刺の業者を洗ってみますと、神田に。
「(そばをたぐりながら)たぐれば何かでるかもしれんなあ。」
「警察官殉職事件特別捜査本部」と貼りだされた部屋の前、
出てゆく南。戻ってきた堀。
堀「どこへ行くんだね。」
南「ホシの名刺が手に入りましたので。」
戻った堀の鑑識報告。「やっぱり心臓に一発はいってました。」
28口径コルト。
なお鑑識で、山麟が拳銃の犯罪歴を調査中。

●府中、試験場 徳衛と東野 応対・滝謙太郎(二ツ星の巡査部長)
堀和彦は2名。台帳の紙片を東野に提示する。
一人の写真は打越正八。大正6年生まれ40歳で、ちょっと上。
※台帳には、現住所が豊島区東長崎。
東野「ちがいますねえ……、メガネはかけてませんでしたし。」
もう一人は32歳。(実はこっちの写真が方がメガネをかけている、でもほとん
ど映らないが)
どうやら偽名臭いので、膨大な台帳の写真から、東野に首実検を依頼する。
東野は自信を持って「わかると思います。」

●捜査本部
関山「この型に間違いありません。」
関山が、トラックのカタログを手に神田に答えている。
時間を気にしているので神田が問うと、
関山「これから石川巡査の通夜の準備がありますので。」

試験場から徳衛の電話、神田がとる。
「なに、偽名?……北区上中里――」
線としては薄いが「堀和彦」のアリバイ確認に須藤と佐原を派遣。
入れ替わりに、鑑識のライフルマーク照合から戻る山麟。
拳銃の前科は無し。
というわけで拳銃の線で犯人を割り出すことは断念。
神田「拳銃の線はこれで打ち切りというわけだなあ。」
山麟「はあ……。」
※神田のタバコはウィンストン(「遺留品なし」でも同様)。

●府中試験場
出前持ちがカツ丼を持ってくる。
プレスシートには植松鉄男(オープニングにクレジット有)
「カツ丼2つ、どちらですか?」
徳衛「ああこっちだ、そのへん置いといてくれ。お嬢さん、ちょっとお茶を。」
二人並んでカツ丼に食らいつく。
東野は割箸を押し上げて感謝してから、箸を立てて丁寧に割って、嬉しそう。
肉はけっこう固そうである。

●中古車売場 須藤、応対する杉義一
作中ではシーンが省略されているが、自宅(おそらく上中里)で「堀和彦」の
妻に、昨夜から帰っていないと言われ、勤め先にやってきた。
当の堀は今、外出中、昨夜は杉らと朝まで麻雀、というアリバイ。
※ずらりと並ぶ日産オースチンA50ケンブリッジ
 (初代ダットサンブルーバード発売直前)

●捜査本部
神田「ふうん、麻雀ねえ……。」
香奠を出し合っている。麻雀の話から、画面がカネのやりとりのシーンにつな
がっているところも面白い。しめて2000円か。
神田、筆で香奠袋に表書き。印刷された御靈前の下に「捜査本部一同」。
「ちょっと崩しすぎたかな。」
帰って来た佐原、当たった「堀和彦」はハイヤーの運転手で、朝まで映画のロ
ケに駆り出されていたという。取り置かれた出前の丼に食らいつく。
ここで堀の発案、逃走車の、売渡し日以降の、事故の前歴をあたることになる。
南が、「道路交通取締法違反の方でも」と。
※もし自動車自体は名義変更前でも、何かやらかしていれば、所有者の素性は、
免許証から調書に残されているわけである。

●府中試験場
職員はすっかり帰って、薄暗いフロアに、徳衛と東野の二人きり。
徳衛が、遠野にお茶をいれる。
そろそろ今日は切り上げようかと徳衛が東野をいたわるが、
東野はこの分(机に積まれたカードの山)だけでも、と顧客に税金の通知が来
たことをここでも気にしている。

●「墨田区検察庁」/「警視庁交通第一課分室」
表札のかかる玄関からカメラは右にパンアップして2階建ての庁舎の階上の窓
を映す。
佐原、南、応援の刑事2人が、台帳のページをめくる。
「犯罪事実現認報告書」(右綴じ、タテ書き)

●警視庁 交通総務課管理係 ←夜の警視庁のシルエットに続いて
交通事故の台帳(横書きの紙、上部をとじてあるので下からめくる)を調べる。
下手(画面向かって左)から山麟、須藤、堀。他に応援の刑事が2名。

●麻布署本部
神田一人、新聞に目を通している。
今朝の大崎の窃盗事件の記事に目が留まる。
そこへ署員が、被害電報を届けに来る。
神田は、大崎の事件の報告を読む。
 犯人は2〜3名・小型トラックのタイヤ痕
所轄に電話すると、タイヤの跡はトヨタSG53年型。
犯人の足跡(ラバーソールの靴)がとれているという。
神田「ウチの事件とくっつきそうですな。」
そこに府中から徳衛が戻ってくる、神田は替わって通夜へ行こうとする。
神田「(香奠に)キミの分も入れておいたよ。」
徳衛「すみません。後でナニしますから。」、右手でゴメンポーズ。
徳衛は卓上の被害電報を見て、
「ははあ、3時20分というと、時間が合わんこともないわけですな。」
徳衛、神田が動かした電話の向きをを戻す。(※この芝居も芸が細かい)

神田、階段下で記者連中に取り囲まれる。
例によって、前列にいる梅津、大木、清村一言ずつ。
梅津「どこ行くの?」
大木「遺留品があったんすか?」
神田「石川巡査のお通夜に行くんだよ。」
清村「怪しいなァ。」
神田が香奠袋を見せると、消沈する記者たち。

●交通課分室
ひたすら台帳をめくる。

●本庁交通総務課
堀は、ネクタイを少し緩めているものの、背広を羽織ったまま。
須藤は背広を脱いで、タバコをふかしながら、せわしなく台帳をめくる。
指をなめだした山麟は、かなり着崩れたナリ。
制服の警官が、かわるがわる台帳を持ってくる他、お茶を出したりしている。
堀、お茶に気づいて、「ああ。」
須藤「あ、ごくろうさん。」
山麟「あ、どうも。」

●本部
神田帰ると、新聞持ったまま居眠りしている徳衛。
起こさないように、神田はお茶を淹れようとするが、缶があかずに往生する、
徳衛はびっくり起きる。新聞くしゃくしゃ。
「ずいぶん早かったですね。」
「お焼香だけしてきたよ。」
「課長はみえとりましたか?」
「うん、総監も部長連中もみえておられて、にぎやかだったよ。」
明日葬儀、弥生廟に分骨の後、奥さんは夜行で郷里に遺骨を届けに行く。
弥生廟にまつられるのは2235人目だという。
子煩悩な徳衛は、子供の有無を聞く。
まだおっぱいを飲んでいる女の子が一人と聞き、心を痛める。
見上げる時計11:25。

●交通課分室
時計1:20
窓を開け伸びをする南。
机に戻り台帳をめくり始める。
佐原は椅子を並べて仮眠している。

●警視庁交通総務課管理係
必死に台帳をめくる。
さすがの堀も、片手の親指と人差し指で目をはさんで、こすりながら。
指をなめなめ山麟。須藤は力尽きたか、机に突っ伏している。
――時間の経過のイメージ――
須藤、最後の1枚を見終わってつぶやく「チキショウ、ねえか……。」
堀に向かって「とうとうありませんでしたなあ。」
山麟「引き揚げるとしますか。」
堀 「『ヤマムラ』くんたちの方はどうなったろうなあ。」
そう言いながら、堀は緩めたネクタイを締めなおす。
※だんだん、恰好が崩れてゆく山麟など、それぞれの性格付けが細かい。

●交通課分室 ★ついに交通違反の台帳から発見、佐原
朝4:15、今度は南が横になっている。
佐原「あった!あったぞ!」(※ヒキの画面)
今月5月7日 スピード違反「木谷三造39歳」(現場は江東区住吉)
調書に本籍は黒部郡、現住所は江東区北砂町九の七五二
思わず南は佐原の肩を抱く。

●捜査本部
交通課分室からの、神田の受ける電話を囲む堀、須藤、山麟、徳衛。
すぐさま、「前科を調べてきます」と徳衛が出てゆく。

●北砂町9-752 朝、テラス型団地の126号室
 ※現・東砂3,4丁目に相当、番地は架空か→参考地図(外部)
団地には4階建ての低層フラットタイプも建っている。
裏に回る南。佐原が、玄関を叩こうとしてしばし逡巡していると、隣家の戸が
開く。
昨朝、引越した、と隣家のエプロン姿歯欠けの浜田寅彦が証言する。
一昨日の晩は不在。昨朝、小型トラックでやってきて荷物を積んで出ていった。
立て替えた電気代を払ってもらって。
「ナンバーはわかりませんか?」
「さあ、そこまでは……。幌のついた小さなトラックでしたよ。」
「木谷」は、事件夜は留守だった、普段から留守がち。
突然、浜田の玄関から、妻が出て来る。
あなた、行ってきますからね!
(気の強そうなメガネ女性、タイトなスカートのスーツ、クレジット無し)
「ボクはテレビの台本を書いてるんですけどね」
同じ棟のの大学生が、「木谷」と免許の教習所で一緒だったとの手がかりを得
る。
 ※町域内に「同潤会」と地図にあるが、該当する同潤会砂町普通住宅は、
  木造らしいので、本作のロケ地とは別と思われる。

●千住自動車教習所(当時、堀切に実在) 佐原、南 岡部正純
生徒のカードの写真を入手する。
所員の岡部曰く、先々月(3月)に実地試験をパスしている。
※ここで容疑者「木谷三造」高田博の顔がはじめて登場

●捜査本部 木谷三造にマエ(前科)があり素性が割れる。
徳衛が手口別カードを持ってくる。東野の描いた人相書きと照合。
窃盗で前科2犯。富山刑務所に1年間服役、当時のレツ(=連れ、共犯)が
「カナヤマゴロウ」、徳衛情報によると、王子署管内にいる。
そこに、本部へサガミ電機社長の石島から電話。逃走車の名義変更をしたいと
いう男が来る、と知らせてきた。

●サガミ電機 堀、山麟
 堀「捜査本部のものですが。」
石島「まだ来ていません。」

●捜査本部
南と佐原が一緒に、教習所のカードの「木谷」の写真を持って帰ってくる。

●サガミ電機 ★共犯、曽根晴美登場
曽根晴美が店にやって来る。
「さっき電話をしたものですが。」
と陸運局の書類をカウンターの上に出す。
石島「印鑑証明の件ですね?」
横から堀が割ってはいり、警察手帳を見せる。
堀「警視庁の者ですが、ちょっと書類を見せていただけませんか?」
困惑する曽根に、堀がたたみかける。
「『ヤマニシイチロウ』さんというのはあなたですか?」
「そうですよ。」
「誰から買ったんですか?」
「誰だっていいじゃありませんか!」
「このナンバーの車が殺人事件に関係しているんでね。」
店の外へ逃げ出す曽根を、待機していた車から出て来た山麟が掴みかかり、堀
と二人で取り押さえる。

●麻布署 曽根の取調べ
麻布署横付けされる黒塗り外車(なぜか霞町側から。電車通りを横切って)。
※玄関の看板「布警察署」と下だけ映る。
正面入り口から受付の前を通って、取り囲む記者たちを振り切って署の奥に連
行してゆく。

●王子署 歩いて徳衛
おそらく都電の停留所から、徳衛が歩いて、署の玄関を入る。
(北本通を都電8000形が走って行く。)
捜査課の前、徳衛が通りがかった刑事・岡野耕作に、拘留中のカナヤマの事を
尋ねる。
徳衛「本部事件と関係があるかもしれないんで、ちょっと会わしてもらえませ
   んか?」
 昨日朝8時に、カメラの窃盗容疑でカナヤマゴロウを挙げたという。
 まだ、口を割っていない。本人の犯行なのやら共犯者がいるやら不明。

●本部
堀 「君がホントーに小型トラックを買ったんなら、誰から買ったか言えるは
  ずだろう?」(※「ホント―」の声が裏返る
曽根「……。」
山麟「黙秘権か。」
神田は不敵な顔で、マッチ棒で耳をかきながら、無言で巨体をよじりながら、
曽根の前を通り位置を代える無言のプレッシャー。
堀 「まあいいさ、ヤマニシイチロウという人間が本当にいるか、今、調べて
いるところだから。」

●王子署 徳衛と岡野、清水を尋問
徳衛は「木谷」の写真を風采の上がらない清水一郎に見せて、
「木谷三造を知っているね?」
「え?……。」
「富山の寄せ場で一緒だったろう?」
徳衛、新聞を清水の前に出す。「木谷」が警官射殺事件の殺人容疑だと知らせ
て、
徳衛「その時、もうひとりいたはずなんだが。」
清水「と、とんでもねえ。あっしじゃありません。ただ……。」
徳衛「ただ?」
※徳衛は、清水にキャラメルをすすめながら質問している。

●本部
須藤からの電話を堀が取る。「おう、渡辺くんか。」
 書類の住所にヤマニシイチロウは存在しない。
画面に、曽根のラバーソールの靴の裏が強調される。
神田、佐原に耳打ち(ラジオ窃盗現場の靴跡の石膏型を取りに行かせる)。
また電話が鳴り、曽根がびくっとする。わざと長めにベルの音を聞かせている
ようにも思われる。
ようやく、堀が電話を取る。
「記者たちが、夕刊の最終締切なんで、
 捜査の中間発表をききたいと言ってますが。」
「すぐ行くと言ってくれ、ここまできて高跳びでもされちゃかなわんからな。
 協力を要請しよう。」

●王子署
徳衛「すると、盗んでくるのは木谷と、クガとかいうヤツで、アンタは故買
   (こばい=盗品の買取り)が専門だと?」
清水「そうです。」
徳衛「木谷のヤサは?」
清水「知りません。」
しかし、清水は「クガ」にも前科があると供述。

●本部
交代で夕食をとっている刑事たち。
南はカレー、横で須藤はもりそば。(こちらはちゃんとざるに乗っている)。
曽根も、堀に勧められカレーライスの皿をちらりと見るがそっぽをむく。
山麟「くさくないぞ、食ったらどうだ。
曽根は、落ち着きなく膝をかたかた震わせている。
佐原が、大崎の窃盗現場の足形を届けに戻る。
須藤が佐原に、出前をアゴで示し、曽根の前に。入れ替わりに佐原が机でもり
そばを食べ始める。
神田「これは昨日の大崎のラジオの窃盗の現場(ゲンジョウ)にあったものだ
   が、おまえさんの靴の形にそっくりだなあ。」
続いて鑑識から戻った徳衛。曽根の顔を見ると顔をしかめ、曽根の手口別写真
を、曽根にわからないように神田に手渡す。
体の後ろを回しながら、刑事たちが写真を確認してゆく。
写真カードの裏には「のび」(シノビ=窃盗)と通称で書かれている。
※本籍及び住所は、松戸市大宮町。
神田→堀→須藤→山麟→南→佐原。
後ろから神田に「久我恵太!」と名前を呼ばれ、驚く曽根。
観念して供述を始める。
神田「おまえが殺したんだろう。」
曽根「殺したのはおれじゃねえよ!木谷の野郎がコルトを持ってやがるんだ!」
7時に有楽ビルの地下駐車場で落ち合う約束だという。
時計は6:34
 「木谷」は関西へ飛ぶ算段、あてはないがカメラの売却代金とトラックを売
  れば当分何とかなるだろうと言っていた。
神田「こいつはとば口にパクらんと面倒なことになるぞ。」
神田は、堀、徳衛、山麟に、有楽ビルへ急行するように指示を出す。
拳銃のリボルバーを確認、緊張の面持ちの3人。
「ブン屋たちに勘づかれないように、裏から出て行きたまえ。」
神田自身は、南と令状を取りにいってから駆けつける、と告げる。
佐原を令状の申請に回し、神田も机の抽斗の鍵を開け、拳銃を取り出す。
「渡辺くん、後を頼む。」須藤、お留守番。
●有楽ビル(日活国際会館)裏俯瞰
向いにビデオホール、奥にスバル座、その奥に国電有楽町駅ガード。
ビルの前に黒塗りの外車が着いて、先発隊の3人がビルに入って行く。

●有楽ビル到着第一陣
エレベータ嬢「下へ参ります。」
B1に降りる山麟。
「下へ参ります。」
B2に降りる徳衛。
B3に降りる堀。
板橋区発行の仮ナンバーを付けたトヨタSG53年型を発見する。板橋0435
※エレベーターホールの映像を見ると、地下駐車場シーンはセットであろうか。

●銀座・和光の時計台 7時を指す。

●再び有楽ビル裏俯瞰、到着する黒塗り外車
左ハンドルを握る南、助手席に佐原、後部座席に主任・神田。
ゆっくり曲がりながらスロープを下りてゆく。
※壁には“DEAD SLOW”“5 M.P.H”(極微速前進、時速5マイル)の表示。
各階の刑事たちとやり取りしながら、地下3階到着。堀が神田に聞込みの結果
を報告する。
「30分ほど前に駐車して上に上がった行ったそうです。」
南に、車をトラックの隣につけさせる。シートに体を沈め、身を隠す南。
佐原に「君はこのへんに張っていてくれたまえ。」
神田と堀は、駐車場の事務室の横に張込む。
その間に、外車が、野球中継をかけたり、ジャズを鳴らしたりしながら通り過
ぎる。
神田が腕時計に目をやる、7時7分。
男がエレベーターが下りてくる。
堀がさりげなく確認し、神田に向けて首を振る。
別の男がエレベーターから下降りてくる。
何か包みを二つ抱えた、「木谷」高田博である。
神田、やにわに新聞を広げ「ジャイアンツはやっぱり強いなあ。
堀「長嶋がちょっと止まりましたね。」
二人の前を高田は通って、トラックに歩み寄る。

●逮捕
トラックの横に止めた車の中で息をひそめていた南が、高田に飛び掛かる。
「木谷三造、殺人容疑で逮捕する!」
高田、慌ててポケットのコルトに手をやるが、床に暴発。
両側から襲いかかる神田と堀。
高田の手を南が高くねじり上げ、堀が、握られたコルトを払い落とす。
床面に落ちた拳銃のアップのまま、手錠の音。

【エピローグ】丘の上、弥生廟 ※標柱「彌生廟」
1列に並んで、廟に頭を下げる 7人。
神田「これできっと故人も満足してくれるだろう。」
一方、眼下の田安門を入って、止まるパトカー108号車。関山が降りてやって
くる。
刑事たちと関山の邂逅。あいさつしてすれ違うが、関山が呼び止める。
関山「あのォ、主任さん、みなさん……、どうも、ありがとうございました。」
神田「いやあ、ホシを挙げるのは、私たちのつとめなんですから。」
にっこりして、すぐ使命感にあふれた顔になる神田。刑事たちを見送って関山、
拝殿にむかう。
「終」マーク





 →【114】警視庁物語 顔のない女(1959)
 →【120】警視庁物語 遺留品なし(1959)
 →【103】警視庁物語 深夜便130列車(1960)
 →【121】警視庁物語 血液型の秘密(1960)
 →【122】警視庁物語 聞き込み(1960)
 →【136】警視庁物語 十五才の女(1961)
 →【136】警視庁物語 12人の刑事(1961)
 →【89】警視庁物語 ウラ付け捜査(1963)
 →【123】警視庁物語 全国縦断捜査(1963)
 →【75】警視庁物語 行方不明(1964)



  
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